みなさまこんにちは。
さて、ヨーロッパではクロスオーバーとも呼ばれる小型SUVがブームですが、この流れは2007年発売の英国日産製のキャシュカイ(当時の日本名デュアリス)に始まり、各メーカーが追随したことはご周知の通りです。
キャシュカイは2013年にヨーロッパで25万台も売れました。なぜヨーロッパではこれほどまでにクロスオーバーが売れているのでしょうか?いろいろ調べたのですが、どうも明確な理由はよくわかりません。今までにないおしゃれなスタイルだから、ということのようです。
ただ、誤解を恐れずに言うと、クロスオーバーはカッコだけといえばカッコだけです。デザインコンシャスというか、プロポーションコンシャスの自動車に過ぎません。
いいんですよ。メーカーが消費者のニーズに応えて売れる車を開発するのは当然だし、やっぱりカッコいい車に乗りたいじゃないですか。一昔前は、普通と違ってカッコいいというのがクーペスタイルだったのに対して、今はSUVスタイルだということです。
しかしクロスオーバーは、いわゆる主流派であるハッチバック車と比べて、その使い勝手においてそれほど差があるわけではありません。
例えばプジョーの小型ハッチバックの208と、208とプラットフォームを共用するクロスオーバーの2008を比較してみましょう。
| 208 | 2008 | 差異 | |
|---|---|---|---|
| 全長(mm) | 3,962 | 4,159 | 197 |
| 全幅 | 1,829 | 1,829 | 0 |
| 全高 | 1,460 | 1,556 | 96 |
| WB | 2,538 | 2,538 | 0 |
| 室内長 | 1,675 | 1,689 | 14 |
| 室内高(前席) | 882 | 898 | 16 |
| 室内高(後席) | 861 | 876 | 15 |
| 荷室(dm3) | 285 | 350 | 65 |
| 車重(kg) | 980 | 1,055 | 75 |
*208:1.2 e-VTi 82 Stop&Go EGC
*2008:1.2 e-VTi 82 Stop&Go EGC
数値は英国仕様
2008は208よりも全長が約20cm長いのですが、ホイールベースは208とまったく同じです。延長した20cmはフロントオーバーハングの5cm、リアオーバーハングの15cmにあてられています。
後席を起こした状態での荷室容積は20%ほど増えているものの、居住スペースの大きさはほとんど変わりません。車重は1.2リッターガソリンエンジンののEGCモデルで2008の方が70kg近く重くなっています。
やっぱり、違うのはカッコということです。繰り返しますが、いい悪いという話ではありませんよ。私は208と2008のどちらを選ぶかと言われたら迷っちゃいます。208の方が運転は楽しそうだけど、2008のよりエレガントな外観も捨てがたい。
毎度毎度、前置きが長くなって申し訳ありませんでした。
ここからが本題のシトロエンC4カクタスの話です。2013年のフランクフルトショーで発表されたカクタスコンセプトがベースになっていますが、まさかほとんどそのまま発売されるとは、というほどのぶっ飛んだデザインのクロスオーバーです。

キャシュカイの登場から7年を経て遅ればせながらリリースされたC4カクタス。その佇まいからは、かつて日産自動車が好んで発売していたパイクカーの「ラシーン」や「フィガロ」を連想させなくもないですが、C4カクタスもデザインだけの車なんでしょうか。
まず、外観上の特徴はなんといってもボディの側面と四隅に大きく張り巡らされた樹脂製バンパー「エアバンプ」です。このエアバンプはTPU(thermoplastic polyurethane:熱可塑性ポリウレタン)という素材でできていて、素材自体の柔軟性に加えて、あの幾多のたおやかな膨らみの中に湛えられた空気が衝撃を吸収するそうです。

目的は衝突安全ではなく、TCO(所有に伴って発生する総費用)の削減。壁や柱などに当てても傷がつきにくいので、修理費用が削減できるということです。かつては当たり前だった無塗装のサイドモールを今風に復活させたということですね。
さてこのエアバンプ、日本に持ってきたとして、高温多湿の気候に耐えられるのでしょうか。端っこがべローンと反り返ったり、変色して黄ばんだり、劣化してヒビが入ったりすることがないよう祈ります。
ちなみに、車名のCactusとはサボテンのことです。エアバンプのボツボツがサボテンみたいだから付いた名前だそうです。
内装もシンプルです。

ベンチシート。

ドアハンドルがベルト製!!

いやー、すごいな。これが市販車とはまだ信じられません。

次にサイズを見てみましょう。
C4カクタスは、プジョー208やシトロエンC3と同じプラットフォーム1を使用しています。C4ピカソやプジョー308のEMP2じゃないんですね。C4の名を冠した異なるセグメントのモデルが並存するということになりました。スリーサイズは、全長4,160mm、全幅1,730mm、全高1,480mm。全長は現行C4ハッチバックより17cmも短いのですが、ホイールベースはほぼ同じ2,600mmです。
そして重量はなんと965kg。シトロエンによると、C4ハッチバックより200kg軽い!と謳われていますが、1セグ下がってますからねえ。まあ、それでもC3の1リッターガソリン車より80kg、プジョー2008の1.2リッターガソリン車より90kgも軽いのは大したものです。
この軽量化は超高張力鋼板やアルミ素材の使用、ポップアウト式(窓の一部がヒンジで少しだけ開くアレ)のリアドアウインドウや、ベンチシートなどの採用によって実現されています。
そして、カクタスはなんと携帯電話のような月額料金制が取られるそうです。一括買取もあるんだとは思いますが。これは、契約期間中は、燃料費を除く整備費用や保険などの全ての費用が定額の利用料に含まれるというもののようです。
さて、ゴルフクラスの乗用車のなかでここ数十年で最も大胆なデザインとも評されているC4カクタス。ヒットを飛ばすことができるでしょうか?大当たりか大外れかのどちらかという感じで面白いですね。
C4カクタスは決してデザインだけのパイクカーではありません。非常に気合いの入った大胆な製品だということがお分かりでしょうか。ひょっとしたら小型車の概念を変えるかもしれないという点で、その昔フランスでの小型自動車の普及に貢献したシトロエンの歴史的名車、2CVを連想せずにはいられません。

大袈裟でしょうか?そうかもしれませんね。
でも、大胆なチャレンジがなければ進歩もありません。2CVのスタイルもデビュー当初は嘲笑の的だったそうですから、C4カクタスもわかりませんよ。自分が買うことはないと思いますが、楽しみな1台です。