7人乗ってもそこそこ使えるメルセデス・ベンツGLB(納車レビューその4)

みなさまこんにちは。

さて、我が愛車メルセデス・ベンツGLB 200dはおよそ1年前の2020年6月に発売されましたが、大方の予想通り、日本でヒットを飛ばしております。

日本自動車輸入組合の統計によると、GLBの2020年第3四半期の販売実績はモデル別で13位の1,450台、同第4四半期は4位の2,062台、2021年第1四半期は10位の1,603台でした。

2,062台を登録した2020年第4四半期(10〜12月)は、フォルクスワーゲンT-Crossを抑えて輸入SUVで日本一売れたモデルとなっていたのです。新車効果もあるとはいえ、驚きの数字です。

我が家の近所でも日を追うごとに数が増え続け、1日2〜3台見かけることも珍しくありません。このまま増え続けると右を向いても左を向いてもGLBということになりそうで、「五反田のライズ」とでも呼ばれるようになってしまうのでしょうか。

「RAIZE」を「ライズ」と読ませる綴りが気になって仕方がないのですが、どうしたものでしょうか。

GLBが売れる理由を挙げればキリがありません。全長4.65m×全幅1.86mという日本で現実的なサイズ。クロスオーバーでもミニバンでもない、ボクシーで少し無骨な正統派SUVスタイル。

装備面ではアクティブステアリングアシストや自動車線変更を含む優れたADAS機能に、使い勝手は良いと評判のMBUX。

そして、本国ではオプションの3列シートが日本仕様では全車標準装備。さらに、同じ価格帯のメジャープレミアム輸入車セグメントでは競合モデルが全く存在しないという独自性。

これだけのパンチ力とメルセデスのエンブレムを備えた商品が、エントリー価格500万円強で買えてしまうのですから、売れないわけがありません。

国産上級SUVやミニバンからあと少しだけ、残クレ価格なら月額1〜2万円ほど背伸びをすれば手が届いてしまうという絶妙なポジショニングは、まるで日本をメインターゲットとして企画したのではないかと思えてしまうほどにマッチしています。

これまでメルセデス・ベンツの3列シート車といえば、GLEやGLS、Vクラスなどのサイズも価格もビッグなモデルしかなかったのです。エントリーと言われようがBクラスと言われようが、GLBはメルセデスのセブンシーターであることに変わりません。

それでは、これほどまで人気が沸騰しているメルセデス・ベンツGLB、3列シート車として実用に耐えうるものなのでしょうか。

5人家族の我が家にGLBが納車されて約3ヶ月。第4回目のレビューでは、GLBのセブンシーターとしての実用性にフォーカスしてお伝えします。

乗用車指向の2列目

まずは2列目の居住性から見ていきましょう。居住性を左右するのはプロポーション。GLBは、前から見るといたってオーソドックスな形です。ボディは四角く、ルーフも後端までほぼ水平に伸びていて、良くも悪くも極めて普通のSUVスタイルです。

しかし、後ろに回ってみると、意外にもサイドウィンドウの傾斜が強く、屋根がすぼんだ「おにぎり型」になっていることが分かります。あれ、こんな丸っこかったっけ?

リアフェンダーがふっくらと盛り上がっているようにも見えますが、前後のトレッド幅はもちろん同じですので、やはり屋根の方が狭まっているんですね。

つまり、GLBのアッパーボディは後端に行くに従って絞り込まれる形状になっているのです。真上から見ると明らかです。

なぜこのような形状になっているのでしょうか。目的はおそらく空力性能の確保でしょう。ボディの後端を上方向と左右から絞って流線型にすることで、空気の流れが車両後方の一箇所に収束され、空気抵抗が軽減されるそうです。

このようにアッパーボディの後部を絞り込む形状は、程度の差はあれ、多くの車で採用されています。しかし、私が観測した限りでは、この手のSUVとしては、GLBのそれはかなり強く絞り込まれている方ではないかと思います。

ボディ側面が直立した国産ミニバンと比べると、そのプロポーションの違いは明らかです。デザイン的にも、サイドウインドウに傾斜をつけることで、どっしりとした雰囲気が生まれますので、意匠上の目的もあるのかもしれません。キャビンを小さく見せるのがメルセデス流ということなのでしょうか。

国産ミニバンと並ぶGLB。側面の角度の違いに加え、俯瞰すると天井パネルの幅の違いが一目瞭然。

アッパーボディ後部を狭めることで空力性能やデザイン上のメリットを得ることができますが、トレードオフとして、後部座席の頭上空間は狭くなります。

実際に、GLBの2列目の空間はそれほど広くありません。まず、2列目のシート形状は一般車と同じ40:20:40で、中央は両側よりも狭くクッションが硬い構造です。

そのため、2列目の両側に大人が座ったり、チャイルドシートやジュニアシートを設置すると、中央席は小さな子どもが1人座れるくらいの幅しか残りません。

我が前車プジョー308SW(先代T7)は、全幅1,830mmでGLBよりも15mmほも車幅が狭かったのですが、2列目の左右にチャイルドシートを置いても中央に大人が座ることができました。しかし、GLBではそれができません。これは絶対的な車幅/室内幅よりも、シートのレイアウトに原因があります。

GLBの後席の正しい位置にブースタークッションを置くと、右側に大きな空間が残ります。ドアが来るのはサイドシルの真ん中の黒い線のあたりまでです。

後部座席に私が座ってドアを閉めると、シートの端とドアの間に拳がすっぽり入るくらいの隙間が空くのです。ん?この空間無駄じゃないの?

もう一度GLBの頭上からの姿を見てみましょう。2列目乗員の着座位置に注目してみると、2列目左右のヘッドレストは、前列の運転席と助手席のちょうど真後ろにあることが分かります。

小柄な私から見れば、なぜ後部座席がこんなに中央寄りなのかと疑問に思いますが、屋根を狭めたプロポーションに加え、大柄な欧米人が座っても肩のあたりに余裕を感じられるようにシートを配置すると、どうしても中央寄りになるのかもしれません。

一方、先代プジョー308SWは2列目が3席とも同じサイズの独立式になっていて、左右席の着座位置は少し外側にオフセットされています。こうして、小ぶりながらも大人が座ってもギリギリ差し支えないサイズのシートを押し込んでいるわけです。

この構造は、プジョー5008やシトロエンC4スペースツアラー、フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーランやシャランなど、7人乗りの欧州車が多く採用しています。

3座独立式のデメリットは、後部座席両側の乗員は車両の外側に座ることになるため、背丈によっては圧迫感を感じやすいことと、シートが小さいため快適性に劣る点です。

この手の車の2列目に座るのは子どもと相場が決まっていますので、そうであれば3座独立式の方が使いやすいと思うのですが、メルセデスがこれをやると「実用的すぎてバンっぽい」という解釈になってしまうのでしょうか。

実用志向のSUVなんだからそれでいいんじゃないのとも思いますが、いずれにせよGLBの2列目シートは、3人座ることを想定すると割り切りが見られます。

そこそこ使える3列目

さて、次に3列シートをみていきます。GLBの3列目シートは、身長168cmまでは安全性が確保されているとされています。具体的に何がどのように確保されているのかは不明ですが、とにかくそうらしいのです。

GLBの2列目足元は、下の写真のようにスライドを一番後ろまで下げると、大人が脚を組めるほど広々としています。

しかし、これでは3列目の足元スペースがまったくなくなってしまうので、3列目に人が座るためには、2列目をある程度前にスライドさせる必要があります。

3列目に乗り込むには、2列目シートの肩のレバーを引いて前にスライドさせる、イージーエントリーが採用されています。

イージーエントリーは左右どちらにもついていますが、2列目シートの座面は2分割のため、右側の1席に対して、左側の座面は中央席とつながった1.5席分がスライドします。そのため、1席分の右側を使用した方が軽いのです。縦列駐車をしているときは道路側になってしまいますが、このあたりは左ハンドル仕様のままということでしょう。

開口部はあまり広くなくフロアも高いため、小学生でも「よいしょっ!」と気合を入れて乗り降りする必要がありますが、3列目のシートの幅は子供には十分なサイズで、乗り込んでしまえばそこそこ快適のようです。

小学3年生、GLBの3列目に乗り込むの図。

問題は、2列目を前に倒してから戻すと、リクライニングとスライドが初期位置に戻ってしまうことです。国産ミニバンなどでは、スライドもリクライニングも直前の位置に戻ると思うのですが、なぜかそうはならないのです。たまに使うくらいなら気になりませんが、頻繁に使う人にとっては面倒かもしれません。

7人乗りでドライブへ

それでは7人乗りの状態で走るとどうなんでしょう。今回は、GLBに我が家の5人に加えて祖父母を加えた7人乗りで、埼玉県中部の某地を出発して群馬県の赤城山麓まで行って参りました。大人4人と小学生3人の7人乗りです。高速道路を使って片道1時間ちょっとの距離です。

まず、3列シートを起こして7人乗りにすると、ご覧の通り荷室スペースはほとんど残りません。

GLBの3列目を起こした状態。傘を数本積んだら終わりですが、4.5mクラスなのでこんなもんですね。

日帰りであれば特に問題はありませんが、宿泊だと、7人分の1泊2日の荷物をギリギリ積めるかどうかというところでしょうか。衣類の少ない夏場はいいけど、冬は厳しいかもしれませんね。

普段より多い乗員で走り出します。大人2名分の余分な重さは感じるものの、パワーが全然足りないかというと、そんなこともありません。ただし、ブレーキは少し効きにくさを感じるので、速度は控えめに、早めのブレーキが求められます。

フル乗車で走行していると、少人数の時に気になるACCの「急加速」も「急減速」もマイルドになります。私にとってはこのくらいがちょうどいい感じがします。総重量が増えた分だけ動作が鈍くなっているのですが、自動加減速のパラメーターには車両総重量や加速度/減速度は含まれていないということでしょう。

なお、当日の外気温計は31度を示していましたが、3列目の子供たちからは「暑い」というクレームは出ませんでした。

3列目用のエアコン吹出口はありませんが、2列目の座面の下は空間になっているため、運転席と助手席の下の吹出口から出る送風が流れていくようです。

また、前車プジョー308SWのときは、3列目の子供の声は少し遠く感じたものですが、メルセデスは遮音性が優れているのか、3列目の小3双子男児のくだらないかけ合いは、運転手の私にも普通に聞こえました。キミらもうずっと3列目でいいよ…

ということで、メルセデス・ベンツGLB、3列7人乗りとしてフル活用しようとすると、そこは国産ミニバンはもちろんのこと、プジョー5008やシトロエンC4スペースツアラーなどと比べると、使い勝手は幾分落ちると言わざるを得ません。

特に、2列目にチャイルドシート3席、あるいは「2席+大人」という配置が必須の方にとっては、その時点で候補から外れることになります。

とはいえまったく使えないかというとそんなことはありません。実用性の観点では2列目のシートレイアウトやスライド構造などに割り切りが見られるものの、月に1回くらいの頻度であれば問題ないレベルだと思います。

レストランに寄ったり道の駅に寄ったり、その度に2列目シートを調整するのは少し面倒ですが、たまにはこんな日があってもいいかなとも思えます。

そして、そういう「いざという時に7人乗りとして使う」という使い方こそ、GLBの本来のコンセプトに合致しているような気がします。

7人フル乗車で荷物を満載しながら旅行をしたり、日常的に3列目を使うのであれば、スライド機構の使い勝手や後面衝突安全性を考えても、やはりラージサイズでないと怖いものがあります。つまりアルファードかVクラスですね。

しかし、私としては、多人数乗車にステータスを全振りするわけでもなければ、国産最上級ミニバンにステータス性を覚えることもありませんので、7人乗りとしてはそれなりのパフォーマンスのGLBであっても、優れたADASやパワートレイン、そして抜群の乗り味は、そのデメリットを大きく上回ります。

問題は、子供たちが全員中高生くらいの背丈になったときで、その時はちょっとGLBではさすがに窮屈になるかもしれません。しかし、その頃はもう家族全員でドライブなどという機会もなくなってしまうのでしょうか。

それはそれで寂しいものがありますが、子供の小さな今のうちにGLBで日本中を乗り回して、楽しみ尽くしたいと思います。

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