メルセデスAMG A35代車試乗レビュー。ファミリーカーとして、あり?なし?
みなさまこんにちは。
車って、自分が買った車をどんなに気に入っていても、買った瞬間から次の車のことを考えてしまうじゃないですか。5人家族の私はプジョー308SW (T7)からメルセデス・ベンツGLB 200dに移り、今はAMG GLB35ということで、3列7人乗り輸入車を3台乗り継いでいるのですが、次の3列シート車を買うとしたら、何かなあ、と。
3年ほど前に下記のようなツイートをしたのですが、この時はAMG GLB35のことなんてまったく考えてなかったんですよね。
じゃあ、今のGLB35の次はどうなのかと。GLB35から上を目指すとなると、メルセデスならGLEやGLS。BMWはX5、X7。その他にもボルボXC90やレンジローバーなど、価格を問わなければ車種の数としては、それなりに選択肢があります。
ところがですね、現実的に我が家の駐車場事情を考えると、なんとも難しい。我が家の車庫の奥には前の住人が置いていった立派な物置が居座っていて、全長4.65mのGLBでも敷地からはみ出すかはみ出さないかギリギリなのです。
物置を撤去すれば全長5mの車でも入りますが、今度は接道が問題です。というのも、今のGLB35(全長4.65m、最小回転半径5.7m)で、切り返さずに車庫から出られて、かつ我が家のコルデサック(袋小路)に切り返さずに入ってこられるギリギリの大きさなんですよ。住人の私でさえ、ちょっとミスると1回では曲がり切れないこともあるのです。
となると、前述のようなラージサイズプレミアム3列輸入車は、引越しでもしない限り無理なんですよね。例えばメルセデス・ベンツGLEを買ってなんとか車庫に収めたとしても、出入りする度に切り返しが必要になります。そんなの、いかにも分不相応な車を買いましたみたいで辛すぎる。
国産車でも、アルファード/ヴェルファイア(全長4,995mm、最小回転半径5.9m)も無理だし、3列車界隈では名車の誉れ高いマツダCX-8(全長4.9m、最小回転半径5.8m)でも入りません。CX-8の後継車のCX-80も、リアステアでもつかない限り無理ですね。
つまり、全長4.7m級の3列シート車という縛りで考えると、性能や価格の面でAMG GLB35が最高峰なんですよ。なにせベース車が優秀すぎる。日本で現実的なサイズのちょっとプレミアムな3列SUVとして、あまりによくできています。その証拠に五反田あたりを走れば、もう右を向いても左を向いてもGLBだらけです。それこそヤリスクロスよりたくさん走っているんですよ。
AMG GLB35は、ノーマルGLBの内外装にはほとんど手を加えずに、小売価格ベースで150万円以上という差額の大半をシャシーやエンジンなどの機能部品に注ぎ込んでいるわけですから、まさに「鬼に金棒」「弁慶に薙刀」「龍に翼」「駆け馬に鞭」「アーリング・ハーランドにケビン・デ・ブライネ」なのです。
そして私の年齢、というか子供たちの年齢のことを考えると、そもそも7人乗りである必要があるのかということもあります。5人以上で乗る機会はめっきり少なくなりましたからね。
このように、サイズや性能や家族のことを考えると、どうも今のAMG GLB35が車格的にも価格的にも大きさ的にも、いわゆる「人生のピークの車」に思えてくるのです。なんか「そっかあ」という気分になりますよね。
今がピークか。
そっかあ。
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margin-bottom:10px;”>もくじ
1. 700万円とか900万円とか、一体なにクラス…?
2. 新型AMG A35 (+NTG7)、高くなったが良くなった
3. トンボハンドルはギリ許せる。だが…
4. ファミリーカーとしてのAクラス?問題はサイズだけではない
5. 優秀なドライビングマシーンA35。買い、なのか…?

どこからどう見てもAクラスですね。ありがとうございます。
Aクラスじゃねえか…
まあ、AはAでもA35。メルセデスAMG A35です。現行AクラスW177は2018年に発売されましたが、このモデルはフェイスリフト後のバージョンとなります。モデルコードはMP202401かな。走行距離は6,000km程度なので、慣らし運転も終わった頃でしょう。
フェイスリフトでは外観の変更は最小限ながら、インテリアというかユーザーインターフェイスにはかなり手が加えられています。
まず、インフォテイメントシステム「MBUX」がMC前の初代NTG6から第2世代のNTG7にバージョンアップされました。これに伴い、ステアリングホイールはタッチセンサーボタン式の通称「トンボハンドル」に変更され、さらにセンターコンソールのタッチパッドが廃止されました。また、アンビエントライトの光り方も若干アップデートされています。
これはAクラスだけでなく、CLAやGLA、GLBなどFF系のMFAプラットフォームに順次適用されていきます。
フェイスリフトに伴って価格も上昇しました。A200dが553万円スタートのフル装備675万円、A35のフル装備が885万円、A45が1045万円となります(価格はいずれもMP202402)。
Cセグハッチで900万円弱って、もうどうかしてるとしか思えませんが、A35の価格を見ると、なんだかGLB35がお買い得に思えてしまいます。
A35のたたずまい、僕は全然嫌いじゃないです。
ナビゲーションの交差点案内もより分かりやすくなりました。

残念なのは、NTG6と比べてメーター画面で表示できる情報のバリエーションが減り、カスタマイズ性が下がったことです。しかし、画面がきれいなのは純粋にいいですね。
そして運転支援。基本的な機能はMC前と変わらないようですが、アクティブステアリングアシストやレーンキーピングアシストの制御は改善しています。MC前のGLB35では直線でもわずかに左右にステアリングを振りながらレーンキープするのに対し、MC後のA35ではまるで人間が運転しているように、しっかりと直進をキープしてくれます。ここは前期型と比べて明らかに進歩しています。
ただし、その反面、MC後A35のLKAは前期型と比べてコーナーでのステアリングの切り始めが遅く、特にコーナーの入口で外側に膨らむ感じがします。そのため、コーナー進入時には手動で少しだけステアリングを切り込んであげないと不安に感じました。ここはMC前GLB35にはない感覚です。うーむ。
A35 NTG7でADASをメインに表示。NTG6にはないナビのポップアップは見やすく、トンネルを認識して画面表示もトンネル内に変わるギミックも。ブレーキインジケーターもあるが、情報量はスカスカであまり見る機会はないかも。テスラとか見ちゃうとねえ。
この点はモータージャーナリストの五味康隆さんも新型Eクラスの試乗で同じようなことを指摘していたので、この世代のシステムのクセなのかもしれません。なお、加減速の制御はほぼ変わらない印象です。
ということで、あくまでもMC前のGLB35との比較ではありますが、AMG A35はマイナーチェンジでは、内外装パーツのアップデートは控えめながら、ユーザーインターフェースや走りには細かく手が加えられ、確実に商品性が向上していると感じられる内容でした。
交差点に近づくと表示される「信号映像」。A35にも装備されているはずのARナビで使用するはずだが、最後までARナビの使い方が分からず、前方の風景がただ虚しく映し出されるだけだった。
さて、AMG A35フェイスリフト版について、今までは比較的良いことを書いてきましたが、この辺りから徐々に雲行きが怪しくなってきます。
それは何かと話題のステアリング、通称「トンボハンドル」です。良い点は、ハンズオフセンサーがMC前のトルク検知式(厳密にはタッチパッドも併用するハイブリッド式)から静電容量式に変更されたことです。前期型ではステアリングを保持していても直進道路ではよくハンズオフ警告が発出しますが、静電容量式ではリムの側面にそっと触れてさえいれば検知してくれます。ここはいいですね。
問題は、やはりタッチセンサー化されたスイッチです。ステアリングボタンの右上セクションがメーター画面の変更、右下がACC、左上がセンタースクリーンの操作、左下がオーディオの音量変更や電話、MBUX音声起動です。これはMC前の物理ボタン式とほぼ同じです。
AMG A35(MC後)のステアリングスイッチ。押すのはともかく、スライドはかなりしんどい。
アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(ACC)の速度調整は、ハンドル右下の「SET+」を押すと設定速度が10km/h上がり、「SET-」で10km/h下がります。ここはボタン式なので、押せば効きます。しかし、1km/h単位で変更するには、矢印の部分を指でなぞる必要があるのですが、これがなかなか厳しいです。
これに対してMC前のNTG6系では、ACCの速度調節はトグルスイッチになっていて、上下に強く倒すと10km/h単位、軽く倒すと1km/h単位で調整できます。当たり前ですが、ボタンなので正確性は100%です。運転のなかでも最重要要素の一つである速度調節という制御系で、タッチパネルのように意図した操作に100%の精度で応じてくれないというのは、かなりのストレスです。
MC前の我がGLB35のステアリング。操作性は圧倒的にこちらの方が上。トルク検知式のハンズオフ警告も、親指で小さなタッチパッドに触れれば解除される。
さらに厳しいのがオーディオの音量調節。こちらはスライドの強さによって調節できる音量が変わるのです。1目盛だけ調節しようとしても、加減が難しくて大音量が響いてしまいます。いや無理だろこれ。音量ダイヤルはセンターコンソール上に辛うじて物理ボタンが残されているので、そちらを使う方がよさそうです。
ということで、やはりタッチセンサー式のトンボステアリング、操作性にはかなり課題があります。まあ、とはいえA35(をはじめとするMFA系後期型ベンツ)の動的性能を中心とした商品性の向上を考えれば、まあ、百歩譲って許せるかなという感じではあります。ある程度は慣れるだろうし。
しかし、しかししかし、だがしかし!
やはり、センターコンソールのタッチパッドが消えたのは、はっきり言って痛いです。
タッチパッドが消えたセンターコンソール(写真はショールームのAクラスセダン)
NTG6では肘掛けに置いた左手でセンタースクリーンを操作することができますが、NTG7では全てタッチパネルに移行しています。そのため、何をするにもタッチパネルに手を伸ばさなければなりません。ステアリングボタンの左上セクションの小さなタッチパッドで操作はできるのですが、反応が曖昧でかなり厳しいのです。
タッチパッドの周囲に配置されていたショートカットボタンも消えてしまいました。そのため、「ナビ画面を表示する」「メディア画面を表示する」「次の曲にスキップする」などの操作がボタン一発ではできなくなってしまったのです。これはかなり辛いですね。
我がGLB35(MC前)のタッチパッド。ナビやメディアのショートカットボタンや、「次の曲ボタン(上部の◀︎▶︎マーク)」など、毎日使うボタンがたくさん。まあ、左側ははっきり言って使わないけど。
メーカーにとっては部品点数やハーネスの削減に繋がることは分かるのですが、操作性という点では、なかなか厳しいと言わざるを得ません。エアコンの物理ボタンが残されているのが唯一の救いです。
新型MBUX(NTG7)の操作系に難があるとはいえ、車は一人で乗るものではありません。家族にとっては「NTG6だろうがNTG7だろうが、俺たちが快適ならそれでいい」ともいえます。背の高いSUVとは違って、Aクラスは普通車です。走行安定性などのSUVにはない魅力に釘付けになってしまったらどうしよう。それでは高速道路も含めて丸一日AMG A35に乗った家族の感想を聞いてみましょう。
僕「みんな。今日の代車どうだった?」
だめじゃねえか…
まずは乗り降りのし難さ。これはAクラスに限らないことですが、SUVに慣れてしまうとどうしようもありません。知ってました?乗り降りって、運転手も乗員も、全員が毎回必ず同じことを繰り返さなければならないんですよ。そりゃSUV売れますよ。
次に、後席の子供たちから一様に指摘されたA35の「狭さ」。実はAクラスとGLBの後部座席は、室内幅も天井高もそれぞれGLBの方が2cmほど大きいだけで、横幅と高さはほとんど変わりません。しかし、A35より10cm長いホイールベースが後席空間の延長に充てられていることと、GLBは2列目シートを最も後ろまでスライドさせると、3列目の足元空間がゼロになる代わりに、2列目の足元は相当広くなります。
Aクラスの後部座席の座面から天井までの高さは960mm、室内幅は1,370mm。対してGLBは天井高980mm、室内幅1,395mmと、それぞれ指の太さ1本分ほどしか変わらない。
同じプラットフォームのAクラスとGLB。前席の取付部まではおそらく前後寸法は共通なので、Aクラスより22cm長いGLBの全長は、10cmが後席空間、12cmが荷室空間に与えられていることになる。
そして極めつけは、3人の子供たちの中では比較的乗り物酔いをすやすい次男の「低くて外がよく見えないから、車の動きが予想しにくい。だから酔う」という指摘です。うーん、どこで覚えてきたのか、本人の実体験から導き出したのか、的確過ぎてグウの音も出ませんね。
絶対的な振動はGLB35よりもA35の方が小さいはずなんですよ。同世代同系列のAMG車で、GLBの方が当然サスストロークは長いし、脚周りの仕立もGLB35の方が穏やかです。それでもA35の方が酔いやすいって、どういうことなんでしょう。
乗り物酔いは、視覚や平衡感覚が受ける情報を脳が処理できなくなることで起こるので、車の動きが予めわかっていれば酔いにくいというのがひとつのセオリーであり、運転手が酔わないのはこれが理由です。端的に言えば、A35の後部座席は乗員にとって見晴らしがよくないんですね。Aクラスの後部座席はGLBよりも少しお尻が沈むような姿勢になり、さらにAクラスの方がGLBより窓が小さいため、乗員からの視界は不利になります。さらに、A35のショルダーサポートが張り出したスポーツシートも後席の乗員にとっては視界を狭める要因の一つとなります。
やはり家族連れにはSUVなりミニバンなり、窓の大きな車がいいんですね。それはもうしゃあない。
A35のリアハッチは手動式。電動ハッチに慣れてしまうとすごく重い。
もちろん、ドライビングマシーンとしてはGLB35よりもA35の方が遥かに優秀です。比べるまでもありません。A35を降りてGLB35に乗り換えると、走り出した瞬間から大きな路面との隔絶感を感じます。両車は同じエンジンなのにA35の方が250kg近くも軽いので、A35でアクセルを踏み込んだ時の気持ちよさは格別です。
ステアリングのレスポンスもGLB35とは段違いで、のっさりもっさりとしたGLB35と比べて、A35はより車との一体感を感じます。
メルセデス・AMG GLB35とAMG A35を乗り較べると、運転を楽しむためには絶対的な軽さと低さがいかに重要かをまざまざと思い知らされるのです。SUVの試乗記事で「この乗り味は普通車にも引けを取らない」とか「2トンという重さを感じさせない」みたいなコメントをよく目にしますが、ドライバビリティという観点ではどう考えても小さくて軽い方がいいに決まってるんですよ。
私がいわゆる「普通車」に乗っていたのは10年前のプジョー206までかな。その次のプジョー308SW(T7)は全高1,560mmで、今から思えば普通車とSUVの中間みたいなスタイルでしたからね。将来子供たちが独立したら、サイズ的にはAクラスくらいのCセグメントがいいのでしょう。
じゃあ、夫婦2人だけで乗るならAクラス(W177)を買うか?と言われると、うーん、
AMG A35は走りは楽しいけど、低速での脚の硬さとバタつきが気になるんですよね。あの硬さはアラフィフの僕でもちょっとしんどいし、初老の夫婦にはなお辛いだろうなと。あとは、エントリークラスであることを強く意識させられるドアの開閉感の軽さとか。これ絶対意図的にやってるだろ。
そういうことを言い出すやいなや「お客様、メルセデスにはもう1つ上のクラスに、新しいCLE(850万円~)というクーペがありまして。こちらは上級プラットフォームを使っていますから。高級感という意味では。Aクラスとは。ええ。もう。」とか言ってくるんですよ。
850万円のCLEだって、どうせオプション付けたら1000万円超えるんだろ。それで、MFAでは廃止されたアクティブレーンチェンジングアシストもついて、コンパクトクラスではつかないシートベンチレーションもついて、ブルメスタースピーカーもついて、サスは電子制御のDYNAMIC BODY CONTROLサスペンションで、ドライバーズパッケージのリアアクスルステアリングがつくと全長4,850mmなのに最小回転半径は驚きの5.0mで、48VマイルドハイブリッドはBSGよりスムーズで燃費効率のよいISGもついてて、WLTC燃費は14.5km/Lなの?
ふーん、いいじゃん……。