メルセデス・ベンツCLAで行くイギリスの旅

みなさまこんにちは。

さて、前回の2024年の振り返りで年末にイギリスにプレミアリーグの試合観戦に行ったことをお伝えしましたが、今回はその詳細版です。

とはいえ、このブログは車の話題が中心ですので、サッカーの話はありません。実は、プレミアリーグ観戦にまつわる話は別のところでまとめてありますので、「暇で暇で死にそうだ」という方は、探してみて頂ければと思います。同じ旅を全く別の視点で切り取って書くのも面白いですね。

今回の旅行では、前半のロンドンからレスターまでの移動は鉄道、後半のレスターからマンチェスターを経てロンドンに戻るまでをレンタカーで移動しました。今回は、そのレンタカーの旅を中心にお届けします。

2024年の年の瀬も押し迫った12月30日。前日の試合観戦を終えて旅の一番大きな目的を達成した我が家一行(私、双子長男、双子次男)の3人は、ホテルをチェックアウトしてウーバーで街外れのレンタカー店に向かいます。

ちなみに、今回は年末のレンタカーということで雪の心配をされる方もいるかもしれません。基本的にイギリスは南のロンドンからスコットランドも含めて、雪はほとんど降らないか、たまに降ってもほとんど積もることはありません。

ロンドンを含むイングランドの冬の気温は概ね東京と同じくらいで、基本的には冬タイヤも必要ありません。今回の旅行では、イギリス滞在の1週間で雪どころか雨すらほとんど降らず、むしろ大半は晴れていたという超ラッキーな天気で、なんと持っていった雨具を一度も使わなかったのです。

しかし、私たちが帰国した数日後にはイギリスは大雪に見舞われていたのでした。なんと……

いやあ、雪降らなくてよかったよかった。

我々が訪問した時は晴天だったマンチェスターのエティハドスタジアム。いやー、ここで試合を観たかったですけどね。それはいつかの機会に。

旅のお供のCLA

今回のレンタカー店はEnterprise Rent-a-Carを選択しました。大手のHertzやEuropcarよりも割安だったことと、レスターからロンドンへの乗り捨てが可能だったことが大きなポイントです。

開店時刻の午前8時に店舗に到着し、手続きを始めます。スタッフに求められてパスポートと国際運転免許証を提示します。

そのEnterpriseで借りた今回の旅のお供はこちら。メルセデス・ベンツCLAです!

店の前に駐車されていて「まさかこれじゃないよな」の、そのまさかだったCLA。
これじゃ「C-class or similar」じゃなくて「C-class or less」じゃねえか。

いや、僕が契約したPremium classは「Mercedes Benz C-class or similar」と書いてあったのに、なんでCLAなんだよ。と思って店員に指摘しましたが、同社のPremium classは、ベンツがCLAとCクラス、アウディA4、BMW 3シリーズのいずれかとなるそうです。

「CクラスはFRプラットフォームだけどCLAはFFプラットフォームだから全然別の自動車でしょう。メルセデス自身がCクラスは「Luxury」、CLAを含むFF系は「Entry Luxury」と明確に区別しているじゃないか。これでは自動車業界の常識から外れている。」という私の主張は「あなたのようなCar personにとってはそうかもしれませんが、残念ながら当社のカテゴリーではそのようになっているのです。」とまったく聞き入れてもらえませんでした。ぴえん。

ということで、レンタカーの車種が気になる方は、契約時にどの車種が含まれるか確認することをお勧めします。今はどこの会社もリアルタイムチャットを設置していて、気軽に聞けますからね。

なお、今回のレンタカー費用は、Premiumクラス2日間でレスターから170kmほど離れたロンドンへの乗り捨て料金込みで約400ポンド、日本円で8万円弱です。たっかいなあと思いますが、日本のトヨタレンタカーの場合、東京駅でクラウンを借り、翌日夕方に180km離れた静岡駅で返却すると、やはり8万円近くになります。円安と物価高のイギリスですが、レンタカー料金に関しては日本との差はあまりないのかもしれません。

さて気を取り直して今回のメルセデス・ベンツCLA。詳細なグレードは不明ですが、ガソリンエンジンの7速DCTです。136馬力のCLA 180か、160馬力のCLA 200と思われます。

ナビゲーションはMBUXナビが装備されていて、Apple CarPlayも使えます。もちろんBluetoothも使えますので、いつも聴いているSpotifyを流すこともできます。

このCLAは私が所有するGLBと同世代・同プラットフォームのいわば姉妹車です。運転席に座るとそこにあるのは勝手知ったるいつものインターフェース。SUVのGLBと比べると着座位置が明確に低いこと以外は何も変わりません。だからCクラスがいいって言ったんだ。

改めて気を取り直しましょう。前を向け。次は「E-class or similar」にすればいいんだ。

イギリスはぜんぶ「高速」道路

私はイギリスで運転するのは19年ぶり3回目、直近の海外での運転は2009年のニュージーランドでした。今回も右ハンドル国なので、あまり不安はありません。いつものFFベンツだし。ちくしょう。

それでは出発です。旅の後半のロードトリップは1泊2日、レスターから北上してマンチェスターとリヴァプールを訪れ、ロンドンに南下するというおよそ600kmの道のりです。まずはレスターから180km離れたマンチェスターを目指します。

日本の道路とイギリスの道路、どちらも右ハンドル左側通行な点は同じですし、道路標識も似通っていますが、似ているようで全然違います。

まずは地形。イングランドは国土全体がなだらかな丘陵地帯。日本でいうと北海道のようなイメージですが、北海道の地形を東西南北にビヨーンと伸ばして大きくして、丘の斜面をなだらかにした感じでしょうか。そして北海道みたいなフラットな地形もあまりない、という。

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緩やかなカーブが続くイギリスのモーターウェイ。ずっとこんな感じです。出典:wikipedia

この地形の上に道路網が張り巡らされていて、なだらかなアップダウンとなだらかなコーナーが延々と続く、速度が乗りやすい環境といえます。

舗装状態は全般的に決してきれいとはいえず、市街地はもちろん高速道路でも古い舗装が目立ちます。ただし、私が走行した限りでは、ポットホールのような大きな穴はありませんでした。なお、帰国して気づいたのは、日本の道路は舗装は綺麗なのに細かなうねりが多く、車体がよく揺れます。いったい何が違うんだろう。

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旅の計画にまったく入っていなかった、ウォルバーハンプトンのモレニュースタジアム。ふらっと立ち寄れるのが車旅行の醍醐味。

そして、日本とイギリスを走り比べて感じる一番大きな違いは、速度です。イギリスの方が圧倒的に速いのです。

まず発進加速。イギリス人の信号待ちや一時停止からの加速は、一般的な日本のドライバーと比べると「猛烈」です。青信号への切り替わりやラウンドアバウト出口で加速する時は、高速道路の料金所でアクセルを深く踏み込むかのように急加速していくのです。

安全運転の肝の一つは「交通の流れに乗る」ですから、私も負けじとアクセルをグワっと踏み込まないと着いていけません。ふんわりアクセルなんてやっていたら後続車に追突されかねません。エコ運転なんて存在しないんですよ、この国には。

イギリスの信号機は、赤から青に変わる時も間に黄色が点灯します。赤から黄色に変わった瞬間にアクセルオン。黄色から青になった時にはもう加速が始まっているのです。そしてスタートダッシュから制限速度まで一気に加速していきます。私はCLAのクルコンで自動的に加速しますが、コンフォートモードでは前の車に全然追いつけません。スポーツモードにしてようやく追いつけるくらいです。

イギリスでは、飛ばす人とそうでない人がいるのではなく、誰もがみんな飛ばします。ヴォクソール・コルサだろうがフォルクスワーゲン・ゴルフだろうが、フォード・トランジットバンだろうが、パトカーだろうが、老若男女例外はありません。誰もが料金所イキリダッシュ。これがイギリスの普通の運転スタイルです。

街中で歩いていても、信号が変わる度に車が「ガオンッ!」と吹かして走っていくからめちゃくちゃうるさいんですよ。日本に帰国すると都内の交差点の静けさに驚きました。みんなBEVなんじゃないの?というくらい音もなく走っていくのです。

ラウンドアバウトのカーブでも多くの車がかっ飛ばしながら抜けていきます。ラウンドアバウト内で車線変更が必要な場合はかなり気合が必要です。いやー、これはすげえな。

ミニバン率が低いイギリスでも、ごく稀に日本のミニバンが走っています。こちらは日産エルグランド。アルファードも見かけました。

イギリスは制限速度も日本よりだいぶ高速です。市街地の制限速度は多くが時速30マイル。30mphって時速48kmですからね。民家が立ち並び、路上駐車も多い街中でも50km/hでかっ飛んでいく。日本よりも道幅は広いものの、なかなかの速さです。

市街地から郊外に出ると、幅の狭いBロードの制限速度は40〜50mph(64〜80km/h)、幹線道路のAロードでは50〜60mph(80〜96km/h)になります。中央分離帯のない片側1車線でも制限速度が100km/hに近いわけですから、日本ではちょっとあり得ない速度です。日本の一般道の最高速度である60km/hは、イギリスでは街から出るか出ないかあたりの速度ということになります。

イギリスのAロードを制限速度付近のスピードで走るのは、日本の道路に置き換えると30〜40km/hオーバーで走っている感覚です。そのくらいの疾走感が続くので、ドライバーはまったく気が抜けません。少しでも速度を落とすと後続車に背後からピタッとつかれてしまいます。

一方、モーターウェイ(高速道路)の最高速度は70mph(112km/h)なので、こちらは日本の最高速度120km/hよりも低い設定です。とはいえ車線の幅は東名高速と新東名高速の間くらい、路面の状態もちょうど東名と新東名の間くらいの粗さなので、70mphで走ってもなかなかのスピード感です。

ロンドンとマンチェスターなどの大都市を結ぶモーターウェイは片側3車線から4車線あり、緩やかなコーナーとなだらかな上下勾配が続きます。

混雑していなければ、追越車線は80mph(128km/h)程度、1本内側の車線は70〜75mph(112〜120km/h)ほどで流れています。主要なモーターウェイ同士を繋ぐインターチェンジでは、ジャンクションの接続道路の制限速度が70mphのままのものもあり、ストレスなく快適に走ることができます。

大型トレーラーやキャンピングカーを除けば、制限速度より著しく遅いスピードで走る車はまったくいません。いや、大型車もそれなりに速いスピードで走っています。

このような道路環境なので、自動車に求められるのは、連続する高速コーナーでも破綻しない正確なハンドリングと足回り、停止状態から80km/hあたりまで鋭く切れ目なく到達できる加速力です。そして、やわなハンドリングでは怖くて運転できないので、走りの良い車が愛されるのです。最近はイギリスでもSUVが多いですが、ハッチバックやステーションワゴンなどの普通車も少なくありません。

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リヴァプールのアンフィールドスタジアム近くの住宅街の路地裏。あまり雰囲気のよろしくない地区だけど、それなりにいい車が停まっていたりします。

なかなか快適なCLA

さて、このようなイギリスの環境で走るメルセデス・ベンツCLAはどのような印象だったでしょうか。今回のCLAは、先述の通り、ガソリンエンジンの7速AT(DCT)ということ以外には詳しいスペックは不明です。

サスはおそらくノーマルのコンフォートサスペンション。我が愛車のAMG GLB35と比べて低速域での穏やかな足捌きが印象的です。GLB35は硬すぎるというほどではなくとも、やはりスポーツモデルならではの突っ張った感触は拭えません。穏やかに乗りたいならノーマルベンツもいいですね。AMGモデルと比べてロードノイズが静かなのも標準モデルの美点です。

ハンドリングも十分に正確でロールが少ないので、ペースの速いイギリスのAロードでもライントレースで不安になることもありません。コーナーでの揺すられ感も少なく、実に運転がしやすい車です。

CLAのガソリンエンジンは、アクセルを踏み込む高揚感は少ないものの、がさつな唸り声を上げるわけでもなく力不足も感じません。これはこれでいいんじゃないかと思えるエンジンです。

一方で、CLAは高速道路での乗り心地はもう少しフラット感が欲しいと感じました。制限速度の70mph (112km/h)付近ではサスペンションのダンピングが不足しているのか、ボディの小刻みな振動が続きます。それでもGLB200dのノーマルサスよりは圧倒的に揺れないし、不快というほどではありませんが、高速ではうちのGLB35の方が揺れないなあと。

固定ショックである以上は、特定の速度域をスイートスポットに設定するしかないため致し方ありませんが、後部座席に座る子供たちも「GLB(35)の方がいい。揺れない」という感想でした。やっぱりAMGの電子制御ダンパーってすげえんだな。

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Carplayで自分のiPhoneを繋いでみたけど、メーターにナビのルート案内が表示されないので、自分は要らないっすね。

英国の高速を走り、日本の高速を考える

地形が道路をつくり、道路がクルマをつくる。日本は今でこそ最高速度120km/hの高速道路ができ始めていますが、大半は制限速度100km/h以下で、急峻な地形のためカーブが多く速度は出ません。馬車文化がなかったため街路は非常に狭く、小さな車が好まれます。重心が高く操安性で不利なミニバンが人気なのも、イギリスと比べて走行性能が重視されないからです。

日本と比べれば、とにかく誰もが超高速でかっ飛ばすイギリスですが、それでも意外なほどに秩序は保たれています。

4車線の高速道路の場合、大型トラックが一番左の第一車線を60〜65mph、第二車線を遅い普通車が65〜70mph、第三車線が70〜75mph、第四車線が80mph程度で流れています。

渋滞していない限り、基本的に第四車線はガラガラです。追越車線を低速で塞ぐ車両など1台もいません。もちろん交通量が増えてくると、右端車線に車が連なり、時に左車線の方が速く流れることもあります。しかし、基本的には遅い車ほど左に寄るという運用が徹底しているのです。

一方、日本の高速道路はどうでしょうか。片側三車線で最高速度が120km/hの新東名高速道路では、右側の二車線に100km/h程度の車両が滞留し、左端車線が空いている状況に度々遭遇します。

メディアでも「追越車線を塞ぐ低速車」として話題になることがありますが、実は、そういう「何がなんでも譲らないマン」的な車はあまり多くありません。交通量と関係なく制限速度を20~30km/h下回る速度で追越車線に居座る車両は、いるにはいますが、レアケースだと感じます。

多くの車両は、「後ろから速い車が来たら譲ろうとは思っているが、中央車線も詰まっているので戻れない」のではないかと思います。それでは、そのような状況で、なぜ左端車線がガラガラに空いてしまうのでしょうか。

それは、日本の片側三車線の高速道路では、実に多くの車両が中央車線を走行しているからです。そしてその理由は、「そういう法規だから」に他なりません。

休日の新東名高速道路の120km/h区間では、中央車線は100km/h前後で流れていることが多いでしょうか。左端車線を走っているのは大型トラック以外にはあまりいません。

三車線の高速道路では、左端の第一車線と中央の第二車線が「走行車線」、そして右端の車線が「追越車線」と定められています。追越車線は前走車を追い越す目的でしか使えませんが、走行車線は左と中央のどちらを走っても構いません。「できるだけ左側を走りなさい」という規則はありません。道路交通法第20条(車両通行帯)では、「…三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。」と定められています。

そのため、多くの車両がなんとなく中央車線を走ることになるのです。だって、左右の空間が広い方が心理的に走りやすいから。そうすると、95km/hで流れる中央車線の車両①を105km/hで追い越そうとする車両②が追越車線に出てきます。そこに120km/hで走行する車両③が追い付いてしまいます。車両②は追越車線に居座るつもりはないが、中央車線の車両もそれなりに多いのでなかなか戻らない。そして、剛を煮やした車両③がガラガラの左端を120km/hで追い抜くのです。①も②も③もどれも合法なのに、実に危険な状況です。

この状況を改善するには「原則として左端を走れ。追い越す時は中央を走れ。さらに追い越す時は右側を走れ」というルールに改正する必要があります。そのようなルールができれば、高速道路の架道橋に「追い越したら左端へ」「左端走行が原則」という横断幕が並び、全国のドライバーに正しい運用が呼びかけられることになるでしょう。「神奈川県のほぼ真ん中 綾瀬」とか「70代を高齢者と言わない街 大和」なんてクソどうでもいい横断幕を掲げてる場合じゃないんですよ。

何度でも繰り返しますが、「追越車線に居座る車両!車両通行帯違反!」の問題ではなく、「3車線の高速道路で左端走行の原則を定めていない行政の不作為」が問題なのです。高い建設費用を最大限有効に活用するために、ジャーナリストや政治家の皆さんはぜひこの点をご指摘してほしいものです。

イギリスのモーターウェイ(wikipediaより)。右側の車線は追越車線がきれいに空いています。ほんとにこんな感じです。

今回の旅では、イギリスの道路交通システムがいかに高速度と効率を重視しているかが感じ取れたことが印象的でした。

この国の道路では、明らかに「速く走る」ことが求められます。私のような車好きにとっては実に走りやすくストレスも少ない天国のような環境ですが、一方でスピードを出したくない、出せない人にとっては地獄のように思えるかもしれません。

イギリスからは学ぶべきでないことがたくさんありますが、高速道路の運用については大いに学ぶべきです。

ということで、海外で運転すると日本の道路の素晴らしいところや課題がよく見えてきますね。イギリスのレンタカーの旅、運転がそれほど好きではない人にはまったくお勧めできませんが、車好き運転好きな方には体験する価値があると思います。ぜひ皆様も一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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