韓国製EV、ヒョンデiONIQ 5に試乗!

みなさまこんにちは。

えっ、前置きはいいから、とっととヒョンデiONIQ 5に試乗した感想を話せ?

まだ何も言ってないじゃないですか!!

ということで、ヒョンデの電気自動車、iONIQ5(アイオニック5)です。ワールドプレミアはちょうど1年前の2021年2月ですので、私も含め輸入車ファンのみなさんはiONIQ 5の存在自体はご存じの方も多いと思います。日本のヒュンダイは2009年に乗用車販売から撤退していましたので、iONIQ 5も日本では発売されないんだろうなあと思っていましたが、昨年末あたりから、どうもヒュンダイが日本に再進出するらしいという話が流れてきて、そして2022年2月8日に発表に至ったわけです。

それで私も、どれどれと思って調べてみると、原宿で試乗ができるというじゃないですか。これが東京に住んでる醍醐味というものですね。まあ、ホンチー(紅旗)は大阪なんですが。大阪のホンチー、東京のヒョンデ、でいいんじゃないですか。

予約サイトでiONIQ 5の試乗スケジュールを探してみると、最短で取れるのが2月19日土曜日の午前10時ということで、その前の一週間はカレンダーがグレーアウトされておりました。ああ、やっぱり大注目なんだなあと思い、すかさず2月19日午前10時に予約を入れたわけです。

そうしたらですね、試乗会場となる原宿のHyundai House Harajukuのオープンが2月19日午前10時というではありませんか。なんと、この私がヒョンデiONIQ 5を日本で試乗する最初の一般人みたいなんですよ。

いやー、私がそんな大役を仰せつかってよいのでしょうか。とはいえ、私も韓国車とはまったく無縁というわけではなく、輸入車ウォッチャーとしては米国や欧州で奮闘する現代・起亜グループのニュースは折に触れて目にしておりました。

日本では販売不振によって撤退したものの、世界的な販売規模では間違いなく世界の五指に入るグローバル自動車メーカーであり、そのヒュンダイの渾身の作であるiONIQ 5が欧米で非常に高い評価を受けていることも知っていました。

さらに、2017年の韓国出張では、日本ではなかなか縁のない韓国車に触れることもできました。なんとあの有名なサンヨン・ローディアスをこの目で目撃することができたというのは、なんとも感慨深い話ですね。

えっ、結局前置きが長えじゃねえかって?

ここからですよ。ここから。短時間ではありますが、ちゃんとiONIQ 5に試乗してきましたので、レポートさせて頂きます。

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韓国製EV、ヒョンデ iONIQ 5(アイオニック5)に試乗!

1. これがヒョンデ iONIQ 5だ!

2. 普通に乗れるヒョンデ iONIQ 5

3. iONIQ 5のここが気になる…

4. いまiONIQ 5に乗るということ

おー、実物もなかなかかっこいいですねえ。四角いフロントライトは、ヒョンデが「パラメトリックピクセル」と呼ぶデザイン言語で、iONIQ 5にはこのレトロデジタル風なデザインが散りばめられています。

横から見るとこんな感じです。

iONIQ 5のスリーサイズは全長4,635mm×全幅1,890mm×全高1,645mm。ホイールベースは3,000mmで重量は1,870〜2,100kgです。写真ではフォルクスワーゲン・ゴルフのようなハッチバックに見えますが、実はレクサスNXやメルセデス・ベンツGLCなどのDセグメントクロスオーバーSUVとほぼ同じサイズとプロポーションなのです。

引き続きエクステリアを見回していきます。リアランプ周りもレトロデジタルなパラメトリックピクセル。

フロントライトは横一線に貫くような1枚のパネルで覆われていて、ブラックアウトされた姿も未来的でカッコいいです。

iONIQ 5はV2H(Vehicle to Home)にも対応していて、充電した電力で電子レンジやドライヤーも使えるそうです。不意の大雨でも安心です。

それでは乗り込んでみましょう。iONIQ 5のドアハンドルはポップアップ式。電動ではなく、付け根の部分を押すとカチャッと飛び出すタイプです。施錠したり、走行状態になると自動で格納されます。

iONIQ 5の運転席。外観のデジタル感とは打って変わってソフトな印象です。第一印象は「無印良品」かな。ちょっとおしゃれな家電のようなイメージでしょうか。

ステアリングホイールはレザーで、握った感触はいいですね。センターパッドには「HYUNDAI」ではなく「・・・・」と書かれています。

シフトレバーはステアリングコラムの右下についています。先端の銀色のノブを上に回すとDレンジに入ります。ノブの先端のボタンを押すとPレンジです。ベンツに似ていますね。

ドアの内側はシンプルな造形です。ドアトリムやスイッチ類の質感は、高級感はないものの、安っぽくも感じません。

ドアの内側にもパラメトリックピクセル。

シートはメモリ付きパワーシートになっています。少しふんわりした掛け心地で、第一印象は良好です。オットマン付きで、長い充電時間をくつろぎタイムに変えてくれるそうです。なお、リアシートはスライドのみ電動で、リクライニングは手動です。

後部座席のエアコン吹出口はBピラーについています。引き上げ式サンシェードがついているのもうれしいですね。

トランク容量は527リットルだそうです。床下にバッテリーやモーターを置いているため、深さはありませんが、奥行きはステーションワゴン並み。なお、フットトランクオープナーは「付いているはず」だったけど、実際に到着した車両ではどうもついていないようだ、ということです。

建物裏の駐車場から広い道に出るまでは、私は助手席に座り、プロダクションスペシャリストさん(以下、P氏)に運転して頂きます。

広い場所でP氏と運転を交代し、いよいよ出発です。なお、今回の試乗コースは代々木公園近辺の一周約2.5kmのコースを2周するというものでした。運転していたのは正味10分程度、最高速度も時速50km程度ですので、車の乗り味の一端をほんの少しだけ垣間見た、というくらいです。

iONIQ 5 Lounge AWDのモーターは306馬力、605Nm。これが発進の瞬間から出力されるという、化け物のようなトルクです。

信号が青に変わると同時にアクセルペダルを床まで一気に踏みつけると、2.1トンの巨体が「ギュイイイイイイ!!」と獰猛なモーター音を響かせながら暴力的な加速!!横に並んだテスラは一瞬にして遥か後方の豆粒と化し、もう1955年にタイムスリップしかねない!!見たかテスラ!!見たかイーロン!!!

とはならないですね。原宿界隈で全開加速など試しようもありませんが、普通に踏めば極めて常識的なマナーで加速していきます。iONIQ 5、すごくよい意味で、普通です。赤信号で停止すると、ごく自然にブレーキホールドが効きます。ベンツのようにブレーキペダルを踏み込まなくてもいいのは楽チンですね。

iONIQ 5のステアリングフィールは低速でもかなり抵抗感があり、「しっかり」というよりむしろ「ガッシリ」という印象です。ハンドルが小指1本でくるくる回るような設定の車から乗り換えると、最初は少し戸惑うかもしれませんね。

iONIQ 5の乗り心地は、着座位置が少し高い割にはロールもせず、フラットな印象です。車重は2.1トンと、同クラスのガソリンSUV車より300kg以上も重いですが、ドスドスと重さを感じることもありません。

ただし、サスの動きはストロークが浅いせいか、205/45R20という大径タイヤのせいか、少しバタつく印象がありました。硬いとまでは言いませんが、価格や車格を考えると、路面の凹凸をもう少し滑らかにいなしてほしいと感じました。

今回は非常に短い距離ですが、ADASオタクの私としては、メルセデス・ベンツも凌駕する先進フル装備のiONIQ 5のACCやLKAを試してみました。

ステアリングホイール右側のスイッチを押してACCを起動します。前走車に追従するのは当たり前ですが、驚いたのは停止のマナー。前の車が赤信号で停まっているところに30〜40km/h程度で接近しましたが、スーーーーッと、一切の澱みもなく減速し「ヒタッ」と停止するではありませんか。

「ピタッ」じゃないんですよ。「ヒタッ」と、まるで高級リムジンを運転する熟練ドライバーが細心の集中力で停止させるような、そんな滑らかな停止なのです。熟練ドライバーの高級リムジンに乗ったことはありませんが。

いやー、このiONIQ 5の洗練された停止マナーにはたまげました。P氏も「ここは本当に凄いです。驚きました。」と。

ちなみに、我が愛車メルセデス・ベンツGLBもADAS性能では定評がある方ですが、一般道での自動停止のマナーはお世辞にも上手とは呼べないレベルです。ここだけを比較すれば、例えるとすればiONIQ 5の制御はミリメートルレベルで、GLBはセンチメートルレベル。そのくらい違います。

iONIQ 5のACCの滑らかさは、モーターと回生ブレーキによる制御のしやすさというのがおそらくあるのかもしれません。これがヒョンデの開発力によるものなのか、BEVであれば容易いことなのかは分かりませんが、いずれにせよ微低速時の自動運転制御については、ICEはちょっともう敵わないんじゃないかと思ってしまいました。やべえ、時代進んでるわ。

その一方で、iONIQ 5のACCで気になったのは、片側2車線の曲線道路で、明らかに隣車線の前走車に反応して減速したことです。これが安全性を考慮したものなのか、同一車線の前走車と誤判定したのかは分かりません。この辺りは別の機会にもう少し深掘りしてみたいですね。

また、iONIQ 5は時速50km以上でレーンキープアシスト(LKA)が作動するようです。この操舵支援は強烈ですね。人力ではオーバーライドできないんじゃないかと思わせるほどガッチリと支援が入るので「絶対に車線は跨がせないぜ」という強い意志のようなものを感じます。

さらに凄いのが、名づけて「内輪カメラ」。ウインカーに連動してメーターに巻き込み側の映像が表示されるのです。これもP氏いわく、メチャクチャ便利で手放せないということでした。

iONIQ 5の装備は大変充実しています。ADASは、ACCにLKA(車線維持支援)は当然、地図情報を用いた速度制御や自動車線変更もついています。ハンズフリー機能はないものの、国産輸入車問わず、2022年時点のレベル2としてはほぼ最高峰と言えるレベルです。

その他装備表を眺めても、おそよ足りないと思われる装備がありません。シートヒーター、ステアリングヒーター、アンビエントライト、グラスルーフと、本当になんでもついてます。

強いて足りないものいえば、前照灯がアダプティブハイビーム(AHB)ではなく、オートハイビームである点くらいでしょうか。AHBが許可されていない米国向けなのかもしれません。

いやー、iONIQ 5、面白い。面白いですよ。内燃機関車から乗り換えても違和感なく運転できるし、ドイツ車ともフランス車とも、そして(たぶん)国産車とも違う味わいです。

iONIQ 5 Lounge AWDのカタログ上の航続距離は577kmですので、残量が70%であれば、404kmになる計算です。それがどういう理由か、半分強の237kmとなっておりました。これは私も降りて写真を見てから気づいたのでなんとも言えませんが、うーん、どうなんでしょう。

次に気になったのは、内外装のデザインの統一感。外観はiONIQ 5のデザインテーマとされる「パラメトリックピクセル」を押し出したシャープで未来感溢れる印象ですが、内装は一転して白色と丸みを帯びたモチーフを多用した柔らかな雰囲気です。

ステアリングホイールやドアトリムなどにはアクセントとしてピクセルがあしらわれているものの、インナードアハンドルやシートスイッチはゼリービーンズのような楕円形。パラメトリックピクセル、どこに行っちゃったんだろう。

外装はかっこいいし、内装も全然悪くないと思いますが、内外装が違う方向でデザイン性が追求されているため、2つの世界観が混在しているように見えるのです。

贔屓目に捉えれば、iONIQ 5の緊張感のある外観からドアを開ければリラックス空間、という両極端な世界を楽しんでほしいということなのかもしれませんが、開発途中のどこかで企画が二転三転してしまったのだろうかなどと、運転しながら天の邪鬼な見方をしてしまいました。

iONIQ 5のホイール。なぜかここだけ幾何学模様。なんで?

3つ目は、全体的な素材の質感。外装パネルやドアトリムの素材や触感などは、決して安っぽいわけではありませんが、かといって上質感もありません。

カッコいい。カッコいいけど、どことなく鷹揚な雰囲気も漂うiONIQ 5のリアセクション。アメ車を後ろから眺めて抱く感覚に似ています。それが味なのかもしれない。

特に外装はサイズの割に抑揚が少なく、エンジンルームやドアシルなどの「見えない」部分は、私が乗ってきたプジョーなどと比べても、どことなく大味な印象です。

上:iONIQ 5のストラットタワー。中:Bピラー下部。下:リアダンパー取付部。これで何が分かるという話でもありませんが。

ヒョンデがメインストリームブランドであることを考えればブランドに相応しい質感なのかもしれませんが、ここは価格を正価の589万円と捉えるか、140万円の補助金(東京都の場合)を引いた449万円と捉えるかでだいぶ変わってきそうです。

そしてiONIQ 5の気になる点の4つ目。これがある意味一番怖い点ですが、それはリセール価格です。これはもうまったく予想がつきません。「ヒョンデ」は日本では乗用車としてのブランド価値はほぼゼロに等しいわけで、いまiONIQ 5を購入したとして、1年後、3年後にどうなっているのか。希少価値がつくのか、半額なのか、3割なのか、全く想像もできないのです。

BEVに乗る人には尊敬の念を抱かなければなりません。

その意味で、隣国韓国から新たなプレーヤーがBEV市場に参入してくれたことは非常に歓迎すべきことだと思います。彼らもまた、私達の未来をともに築いてくれる先駆者のひとりなのです。プロの自動車ジャーナリストの方でも「出来の良い韓国車」に狼狽する姿が見られますが、いいものはいい、よくないものはよくない。それでいいじゃないですか。

ヒョンデが日本の電気自動車市場に新たな風を吹き込み、引っ掻き回してくれるのか、大いに楽しみにしたいと思います。次は是非AnycaでiONIQ 5を長時間試乗してみたいですね。

それでは、Hyundai Houseのラウンジにいた謎のキャラクターと一緒にお別れです。

Hyundai Houseの2階にいた謎キャラ。日本サイドも活用方法が定まっていないとみえ、部屋の奥の方に佇んでいました。僕は密かに「パラピクセル先生」と名づけました。

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