メルセデス・ベンツEQBに試乗!そしてEVで長距離旅行へ(ただし妄想で)

みなさまこんにちは。

さて、わが愛車メルセデス・ベンツGLB 200dの納車から1年半が経過し、走行距離は14,000km近くまで伸びましたが、特にトラブルも問題もなく、快調に距離を伸ばしております。

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これは…

360度カメラのうちリアカメラだけが突然映らなくなって、MBUXに「周囲の安全を確認!」と言われても、お前のその画面を見つめながらバックするのが一番安全なんですけど、とご指摘申し上げたところ、カメラが復活したと思ったら今度は近接センサーが作動しなくなってしまったところです。

ということで、リアカメラを交換し、パーキングセンサー関連のソフトを更新してもらって無事解決いたしました。まあ、保証で無償で治るんですから、例のハンドル流れと比べれば、どうってことはありません。はっはっはっ。

さて、GLBが戻ってきて涙を拭いたところで、営業さんから「今週末、EQBの試乗車が来るんですよ」と教えて頂き、試乗に行ってまいりました。ちょっと長いですが、GLBでの長距離旅行とも時期が重なり、BEVについてのよい思考実験もできました。

1. メルセデス・ベンツEQBとは?

まずはEQBとはどういう商品なのか、GLBと比べながら見てみましょう。

メルセデス・ベンツGLB
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メルセデス・ベンツEQB

メルセデス・ベンツEQBは、ICE車(ガソリン/ディーゼル)であるメルセデス・ベンツGLBをベースとしたBEVです。一言でいえば、コンパクトで3列シートを備えるSUVのBEVであり、2022年夏時点では、国産輸入車を問わず、ほぼオンリーワンな立ち位置の商品です。

価格はFFの「EQB 250」が780万円、前後輪のモーターで駆動する「EQB 350 4MATIC」が870万円。ナビやADASは標準装備なので、これだけで乗り出してもまったく不足のない内容です。

オプションはメルセデスの他のモデルと同様に「レザーパッケージ」や有償ボディカラー、サンルーフなどがあり、おなじみの「AMGラインパッケージ」もあります。「AMGライン」は58万円と高額ですが、フロントグリルや内装などのスタイリングパーツだけでなく、ダイレクトステアリングや可変ダンピング式スポーツサスペンションなどの機能装備が含まれます。

オプションを含むメルセデス・ベンツEQBの価格は、構成によっては1000万円に限りなく近くなります。

なお、EQBのベースとなったGLBは、ガソリンの「180」が568万円、ディーゼルの「200d 4MATIC」が593万円です(MP202202)。こちらもナビやADASは標準装備。AMGラインパッケージやサンルーフ、有償ボディカラーなどを選択すると、600〜650万円となります。

そして、GLBのスポーツバージョンである「AMG GLB35 4MATIC」はフルオプションで866.5万円ですから、価格帯としては「GLB」<「AMG GLB35」<「EQB」ということになります。

AMGよりも上位に位置するEQB。そういうことです。

​「EQBって、AMG GLB35より高えのかよ」と思うかもしれませんが、高いなりにハイパワーにはなっています。GLB 200dの150馬力・320Nmに対し、GLB35は306馬力・400Nm。そしてEQB 350は、馬力は292馬力とGLB35より僅かに劣るものの、トルクは520Nmという化け物のような数字を叩き出すのです。

なお、EQBには補助金がつきますので、東京都であれば最大で125万円が戻ってきます。(最低保有期間4年間の縛りがあるのと、予算次第で100%もらえるか不透明ですが)

また、EQBの車両本体価格には、5年保証+メンテナンスパック(ICE車は通常3年保証)や、1年間の公共充電スポット無料サービスが付帯します。

これらを考えれば、AMG GLB35よりは実質的には安くなり、GLBとの価格差もだいぶ埋まってくると考えることもできます。

2. EQBの内外装チェック

続いて内外装をみてみます。写真手前がEQB、奥のグレーが私のGLBです。主要なボディパネルは共通ですが、ヘッドライトやバンパーの形状が変更され、グリルもEQBはブラックのパネルになっています。

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別アングルから。EQBは空気抵抗を減らすためにのっぺりとしていて、GLBの方が力強い印象ですが、どうでしょう。えっ、奥のAMG G63の方がいい?

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EQBのリアはコンビランプが左右つながっています。GLBでは奥に窪んだパネル(ここにリアカメラとゲート開閉スイッチがある)もEQBではフラットに。これもCDに効くのでしょうか。ベンツマークやナンバープレートの位置も変更されています。

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全体的につるんとしたEQBの外観をどう捉えるかは好みの問題かと思いますが、ひとつ気になるのは、GLBではエンブレムの真下に収まっているフロントカメラが、EQBではなぜかエンブレムの斜め下にずらされて、鼻の下のホクロに見えてしまうことですね。おい、どうしてそうなった?

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EQBの充電口は2箇所。リアバンパー右側に普通充電、リアフェンダー右側に急速充電があります。

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EQBのエンジンルーム。ICEのGLBより明らかに空間が多いつくりです。EV専用プラットフォームであれば、余分なスペースを室内空間に充てられるのでしょう。

それでは室内へ。10.25インチ×2のメーターディスプレイにアルミ風加飾のステアリングホイール。運転席に座った感覚も含めてGLBとまったく同じです。

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助手席前方のパネルにはドット模様のアンビエントライトが埋め込まれています。ここはGLBでは化粧パネルのみ。ドット模様が「グライコ(分かる人はおっさんですが)」のようにキラキラ動くのかと思いましたが、パターンは固定されています。

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運転席も後部座席も、GLBと共通です。こちらはAMGラインバージョンのスポーツシートです。

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残念でならないのが、半導体不足の影響で手動式に変更されてしまったシートです。EQBだけでなく、現在輸入されているベンツのコンパクトクラスは軒並みこれです。「ランバーサポートは辛うじて電動なんです」って言われても、ねえ。

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シートの前後調整もレバー式。

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GLBではシート調整とメモリのスイッチがあるドアの内側にも、EQBでは当然なにもありません。800万円級の車でこれは寂しい。寂しすぎます。ただし、2023年モデル(MP202301)からは、電動シートは復活する予定だそうです。

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よく見たら、カーボン風の加飾パネルはGLBの方がコスト高そうだな…

続いて2列目へ。床下にバッテリーを積んでいる関係で、2列目より後ろの床面はGLBより嵩上げされています。でも、以前座ったEQAと比べると、膝が持ち上がる感じは少ないですね。悪くないです。子供ならまったく問題ないでしょう。

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でも、床はEQAと同じくらい高いのに、EQAより膝が持ち上がらないのはなぜ……?と一瞬戸惑いましたが、あれ、なんかEQB、天井低くね?

僕「EQBって、ひょっとして床だけじゃなくて座面もGLBより高くなってます?」

営業「えっ、そうなんですかね?」

どうなんだろうと思いつつ、3列目に乗り込んでみると、明らかにGLBよりも座面が高くなっていることが分かりました。

だって、EQBの3列目に座ると私の頭が天井についちゃうんですよ。私のGLBの3列目と乗り比べてみると、EQBの2列目と3列目シートの座面は、GLBと比べると数センチほど嵩上げされているようでした。

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GLBの3列目の身長制限が168cmであるのに対し、EQBは165cmになっているのはそういうことなんですね。

まあ、この辺りは床下にバッテリーを搭載するというBEVの構造上、致し方ない部分かなと思います。EV専用プラットフォームのヒョンデ・iONIQ 5も「高い位置に浅く腰掛ける」みたいな、一般的なICE車と比べれば少し不自然に感じる乗車姿勢ですからね。

3. EQB、クラス超えの格別な乗り心地

さて、いよいよ試乗です。電源ボタンを押しても何も音はしませんが、メーターパネルに「READY」という小さな表示が出ます。

お店を出ていつもの試乗路へ。普通です。すごく普通。回生ブレーキが強く、慣れないとアクセルオフでつんのめる感じになる以外は、至極普通です。私はベンツの全車種に乗ったわけではありませんが、ベンツはどれに乗ってもベンツですね。そもそもメルセデスは同世代であればどの車種でも同じように作られていますので、操縦感覚という意味では安心して運転できます。

EQBで特筆すべきはその乗り心地。2.1トンという車重はGLBの一番軽い「180」より約500kg、私の「200d」より250kgほど重いにも関わらず、身のこなしには重さをまったく感じさせません。

幹線道路で、道路工事の仮舗装が続く路面が荒れた箇所を走り抜けても、振動や音はよく抑えられていて、極めてマイルドに路面の凹凸をいなしていきます。なんかGLBよりだいぶ乗り心地がいいぞこれは。

ディーラーからの帰り道に私のGLBで同じ道を走ってみました。先ほどの路面が荒れた場所では、ゴトゴトバタバタが抑えきれません。EQBはGLBより1インチ大きな20インチタイヤなのに、GLBより1段も2段も上質な乗り味です。以前試乗したヒョンデ・iONIQ 5と比べたら、5段くらい違いますね。GLBの乗り心地が決して悪いとは思わないし、EQBはAMGラインのお高い可変ダンピングサスが効いているのかもしれませんが、これはすごい。

ドライブモードをCOMFORTからSPORTSに変えてアクセルを踏み込むと、とても2.1トンあるとは思えない猛烈な加速です。この軽さはICEでは決して出せないでしょうが、かといって、EQBに要るかと言われれば、要らないかな。バッテリー減っちゃうし。

短距離ながらACC +ステアリングアシストも試してみました。EQBのADASはGLBと同じシステムを採用しているとみられ、挙動はGLBとほとんど同じように感じました。ここはLiDARでもつかない限り、抜本的な性能向上は難しそうです。

ということで、メルセデス・ベンツEQB、自動車の出来は普通に素晴らしいと思います。ユーティリティはGLBと変わらず、5年保証がつき、さらに1年間電気代が無料になるという至れり尽くせり。なかなか隙のない商品ではないでしょうか。

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並ばず会える、アドベンチャーワールドのパンダ。待たないって素晴らしい。

4. 課題はやはり充電

ただし、そんなEQBにも課題があります。そうです。充電です。

EQBの航続距離は、「250」が満充電で520km、「350 4MATIC」が468kmです。日常生活にはまったく問題ないレンジだし、実電費が7割程度としても、往復300km程度の小旅行なら無充電で帰って来れそうです。

問題はその先です。高速SAや道の駅のCHAdeMOで30分充電したとして、何km分回復できるでしょうか。充電器の出力が50kWとすると、30分で25kWh。EQBのバッテリー容量は66.5kWhてレンジが520kmなので、電費は単純計算で7.8km/kWhです。25kWh × 7.8km/kWhで、195km分の充電ができる計算になります。

ただ、これはあくまでも計算上の数字であって、50kWで30分充電しても、結果は20kWhにも満たない場合もあるようです。また「急速充電器」とはいえ20〜40kWの「中低速器」も多いので、EQBの電費を考えれば30分の充電で150km分程度と考えた方がよさそうです。

私はこの夏にGLBで紀伊半島を一周する旅に出ました。往路は東京から和歌山市に向かい、そこから南下して紀伊半島を一周。最後は鳥羽からフェリーで愛知に渡り、帰京しました。合わせて1,350kmほど走りましたが、給油はたったの1回だけ。しかも使った軽油は70リットルと、60リットルタンクの僅か1.2杯分だったのです。

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さて、これと同じ旅程をEQBで巡るとしたら、どうなるでしょう。机上で充電計画をシミュレーションしてみました。

初日は満充電で東京を出発し、新東名を経て新名神の土山SAまで約400km。カタログ電費の70%を超えてしまいますが、ここまで行けるとして、最初の充電をします①。30分で150km分を稼いだとして、和歌山市内まで167km。ギリギリですが、ここも行けるとしましょう。私が泊まったホテルには充電器がないので、近くのカーディーラーを探す必要がありそうです②。夕飯を食べる時間が取れるのか、ディーラーの営業時間外でも充電できるのか、不安は尽きません。

翌日、白浜のアドベンチャーワールドまでは90km弱。ここで充電しておいた方がいいでしょう③。そして紀伊半島南端の串本まで60km走ってまた充電④。3日目は那智勝浦や熊野を巡り、中核都市の新宮で充電⑤。4日目は鳥羽で充電⑥。

最終日は鳥羽からフェリーに乗ります。対岸の愛知県伊良湖岬から自宅までは340kmほどあるので、ちょうど中間地点の新東名清水SAあたりで充電しましょう⑦。ふう〜。

ということで、図上演習ではありますが、1回30分で150km分充電できたとしたら、最低でも7回は充電する必要がありそうです。4泊5日の旅行における3時間30分の充電時間はどう考えましょう。ランチやトイレ休憩などの時間はもっとかかるでしょうから、耐え難いほど長いとまでは言えないかもしれません。

ただし、これはおそらく楽観的な計画であって、実際に何kWの出力で充電されるかは予測が難しいし、お目当ての充電器が使えない可能性もあるんですよ。

これらのことを考えると、ファミリーカーとしてBEVを活用するのはなかなか辛いものがありそうです。

「デスティネーションチャージ」として、ホテルや民宿などの宿泊施設に6kWの普通充電器が完備されればだいぶ状況は変わるのかと思いますが、そのような話はあまり耳にしません。

「日本は充電インフラが足りない」と言われて久しく、実際にそうなのだとは思いますが、仮に250kW級の超急速充電器が道の駅やSAに各5〜10基設置されたとして、問題は解決するのでしょうか。もちろん多ければ多いほどいいのですが、どうも違うような気もするのです。BEVの普及には夜間充電設備こそ重要なのではないかと思うのですが、どうなんでしょう。

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「じゃらん」の2021年国内旅行総合満足度調査で沖縄や北海道をおさえて1位となった和歌山県。和歌山、素晴らしいですよ。普通に行っても遠いけど、EVにとってはさらに遠い旅路になりそう。

5. EQB、車としてはどうなの?

充電インフラの問題は、何もEQBに限ったことではありません。テスラのスーパーチャージャーだって、和歌山県にはゼロ。13kWのデスティネーションチャージングが1ヶ所あるだけです。

それではEQB単体としてはどうなんでしょう。結論から言えば、EQBはどこまで行ってもGLBなんですよね。いくら乗り心地が素晴らしくても、洗練されたパワートレインであっても、コンパクトプラットフォームのBクラスであることに変わりはありません。それが900万円するんですよ。

同じメルセデスであれば、Cクラスはもちろん、Eクラスセダンもワゴンも買えてしまう価格です。内装の高級感などの全体的な「いいモノ感」はGLB/EQBとは比較になりません。

そして、他ブランドであれば、同程度の価格でEQBよりワンランク上のレクサスRXも買えるし、BMW X3のPHEVもオプション込みで買えてしまうのです。

EQBに関しては、正直なところ乗り出し900万〜1000万円払ってこれかよ、という印象が拭えません。メモリ付パワーシートとフットトランクオープナーが復活したとしても「それにしても高い」という印象は変わらないでしょう。

もっとも、実際にEQBの購入を考える人は、日産アリアやテスラ・モデルYなどと比較する人が多いそうです。私はアリアやモデルYには乗ったことがないので、それらと比べれば「うわあ、EQBすげえなあ」と感じるところもあるのかも知れません。しかし、それでもICEベースのコンパクトクラスですからね…

そんなことを言ったら、800万円以上するAMG GLB35だって「たっかいGLB」なんですが、まあ、あれは、趣味性がかなりありますからね。

そう。EQBも「BEVという趣味」と捉えれば、価格の割には高級感に欠ける内装や、複雑怪奇な充電にまつわる不便さも、許容範囲どころか積極的に楽しめる要素になるのかもしれません。なにせ、BEVのパワートレインの滑らかさは、ICEでは絶対に対抗できませんからね。

あるいは、やはり長距離は捨てて近所の買い物車に徹するか。ファーストカーがマイバッハGLS、レジャーやゴルフにはポルシェ 911 GT3で、ちょっとした買い物にはEQB、みたいな世界。広い自宅ガレージには充電器が設置され、航続距離には何の不安もありません。「大金持ちのSAKURA」、か…

街で走るメルセデス・ベンツEQBを見かけたら、それはBEVに魅了された趣味人か、不動産で財を成した大金持ちかのどちらかなのかもしれません。

6. GLBからEQBに買い換える?

無理。

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