みなさまこんにちは。
さて、前回のブログでお伝えした、我がメルセデス・ベンツGLBが直進時に左に流れてしまう件、結局メーカーからは何の回答もないまま3ヶ月ほど経過しているのですが、少し進展がありましたのでお知らせします。
先日所用でディーラーに出向いた際に、GLBの姉妹車であるGLAに試乗させて頂きました。動機はもちろん、ステアリングの感触を確かめるためです。来店前に営業担当氏から「とこさんに指摘されてから様々なモデルを運転してみると、どうも現行のFF系コンパクトモデルはみんな同じ感じなんですよね…」と聞いておりましたので、実際に確かめてみようと思ったのです。
来店前に「FFならなんでもいいですよ」と伝えておいて用意されていたのが、こちらのメルセデス・ベンツGLA 200d 4MATICです。
GLAの運転席に乗り込むと、デザインはわがGLBとまったく同じですね。GLBよりも少しだけ着座位置が低いですが、ほとんど変わらない印象です。私のGLBはFF、今回試乗したGLAは4WDですが、ダウンスピードで軽く流したくらいでは、FFとの違いは特に感じませんでした。
GLAで走り出すと、目に映るコックピットははわがGLBとまったく同じ(正確にはダッシュボードの助手席側の造形が少し違う)で、ステアリングフィールなどの操縦感覚もわがGLBとほとんど変わりません。初めて運転する車なのに、まるで自分の車を運転しているような感覚です。

おそらく速度を乗せていけばGLBよりも低く軽いGLAなりの特徴が顔を出すのでしょうが、街中をのんびり走るくらいでは、GLBとほとんど同じ車のように感じました。
そして、懸案のハンドルの左流れを試してみます。直線道路で約50km/hまで加速して、アクセルから足を離します。ACCはオフなのでアクティブステアリングアシストは効いていません。
この状態でハンドルを握る手の力を緩めます。すると……
同じですね。わがGLBと同じように、試乗車のGLAもスーッと左に流れていきます。まあ乗り始めた瞬間から薄々気がついてはいましたが、中低速では基本的に舵角中点が左寄りなことが多いんですよね。だからハンドルを握る力を抜くとステアリングホイールがスッと左に抜けて、車線を逸脱するレベルで流れていくのです。
営業氏の話では、GLBやGLAに限らず、AクラスやBクラスなどの他のFF系の車種も中低速で左に流れるのは同じ傾向で、高速ではビシッと直進する点も同じだそうです。
ということで、ここまでの状況を総合して考えると、わがメルセデス・ベンツGLB、概ね65km/h以下でアクセルオフするとステアリングが左に流れる事象は、どうやらメルセデス・ベンツの現行FF系車種に共通して現れる症状のようです。
そして、その原因はアライメントやタイヤなどのメカの状態によるものではなく、EPSもしくはその他のシステムによってそのように制御されていると考えてほぼ間違いないんじゃないでしょうか。
それにしてもなぜこんな特性なのでしょうか?高速走行時はEPSがステアリングのセンター付近を締め上げて、中低速では緩める。これは高速での操安性確保や低速での運転のしやすさを考えれば、理に適っていそうな制御です。
しかし、なぜ中低速ではステアリングが左に切れてしまうのか。これは完全に推測ですが、営業担当氏と会話して以下の2つの可能性を考えました。
- ドイツ本国仕様とまったく同じ制御。特に何かを意図した設計ではないが、ドイツは右カント(路面が右下がりで傾斜している)のため、本国では指摘する人もおらず問題になっていない。
- ステアリングを握る力を抜いた状態を意識消失などで人的コントロールを失った状態と想定し、僅かに左に流れるように意図的に設計されている。理由は、右に流れて対向車と衝突するより、左に流れて路外に逸脱した方が危険が少ないから。
素人の想像でしかないのでどちらが正しいとも間違っているとも言えません。意図的な設計なら「そういうものだ」と教えてくれてもよさそうなものですが、メーカーから回答が出ていない以上は、「いったいどういうことなんでしょうねえ」とつぶやきながら待ちわびるしかないのでしょうか。
ベンツのFF系コンパクトモデルのハンドル流れ、この現象は日本だけの問題なのでしょうか。気になったため、英文記事を検索してみました。「ハンドル流れ」は、英語では「pulling / pulls to the left / right」と言います。車が引っ張られるということですね。
調べてみるとGLBのハンドル流れについては見つかりませんでしたが、類似すると思われる例がいくつか見つかりました。
ひとつ目は英国のメルセデスフォーラムで、W246に関する情報です。W246は先代Bクラスです。タイトルは「W246 pulling to the left, steering wheel with negative degrees (to the left), and wheel alignment didn’t fix the issue.(W246の左流れ。ステアリングホイールが左に傾く。アライメント調整でも治らず。)」とあります。
スレ主の方はわざわざODB2テスターを使って舵角を計測したらしく、「ステアリングをリリースすると左に2〜3度傾く」というのは私が体験した例とよく似ています。
ただ、レスを読んでも「アライメントじゃね?」「タイヤじゃね?」という反応ばかりで、EPSなどの制御にまで踏み込んで議論されている様子はなさそうです。
こちらはやはり英国のW177ということで現行Aクラスですが、やはり同じような症状に見舞われているようです。「W177 pulling to the left & are the front seats square on(W177が左に流れる。”square on”はちょっとわかりません)」なんと「アライメントを5回も調整したけどダメ」と。
そしてこのスレを読んでいくと、なんと「ドイツでも同じ現象が起きているらしい」というコメントがついているではないですか。「Fast neue A-Klasse w177 zieht nach Links(ほぼ新車のAクラスW177 が左へ移動する)」とあります。
こちら、最初の投稿は2019年の8月ですが、280件近いコメントがついていて、直近のレスは2022年5月となっています。私はドイツ語は読めないので、Safariの頼りない機械翻訳で何とか読み進めました。できれば全文DeepLに流し込みたいところですが。
やはり症状は「ハンドルが左に少し傾いて左に流れる」ということです。右側通行で左に流れるということは、対向車線に突っ込むということですよね。この時点で前述の仮説「1.ドイツでは問題になっていない」と「2.意図的に路外に流す」の両方が消えました。おいちょっと。
そして、この方も何度もアライメントを調整したり、ソフトウェアを初期化したり、なんとステアリングラックの交換までしたようです。Safariの機械翻訳なのでどこまで正確かは分かりませんが。
で、治ったと思いきや治ってねえじゃねえかなどのすったもんだを繰り返し、そのうち「俺も同じ症状だ」という人が次々と現れて「こないだ乗ったアウディのステアリングは、フィールは悪いが完璧だった。なのになぜAクラスのステアリングはこんなに酷いんだ!」とか「おい『Best or Nothing』のBestはどこ行ったんだよこのやろう」みたいな流れになってしまっているのです。
えーーーーーーー……
なんか、ベンツの闇の深淵を覗いてしまったみたいじゃないですか。
本件、さらなる続報をお伝えできる日は果たして来るのでしょうか……
追記
治りました。
2023年8月にGLB200dから乗り換えたAMG GLB35でも同様のハンドル流れの症状が出ていましたが、2024年5月に発表されたリコール対策を適用したところ、症状は消えました。
リコールの内容は「パワーステアリングコントロールユニットのソフトウエアに関する対策」というもので、直接ハンドル流れに言及されているわけではありません。
正確な発表はないため、このリコールとハンドル流れの因果関係は不明ですが、まあ、おそらくこれで対策されたんでしょう。「ステアリングに振動が発生することで」とも書いてありますしね。
