メルセデス・ベンツGLBが「MP202202」で更なる高みへ(9ヶ月振り4回目の値上げ)

みなさまこんにちは。

さて、車のお値段がどんどん高くなっているといわれておりますが、これは世界的な傾向でありまして、アメリカでもイギリスでも新車価格は賃金上昇率よりも高い割合で上がっているそうです。

2020年の新型コロナウイルス禍においては、半導体不足や物流の混乱で自動車の製造原価もますます上がり、米国では2021年12月の新車平均購入価格は47,077ドル(6,365,281円)となり、なんと2年間で9,521ドル(25%)も上昇したそうです。

価格上昇の要因は、半導体不足によってメーカーが高価格モデルの生産を優先していることや、在庫の逼迫により販売店の値引きが少なくなっていることが挙げられています。

日本でも人気車種の納期が伸びていて、人気車種であれば注文から納車まで6ヶ月から1年以上かかるのは当たり前になっています。通常1ヶ月半ほどの納期の車種でさえ4ヶ月以上も待たされるという状況です。

さらに、新車の供給が滞ることで中古車価格も上昇の一途を辿っていて、国内の中古車価格の引取価格はなんと1年で30%も上昇したそうです。

これまでモデルチェンジなどの仕様変更を伴わない純粋な値上げに極めて消極的だった国産車メーカーにおいても、輸入車では当たり前の「価格改定」がいよいよ行われるとみられることも、時代が変わったのだといえそうです。

さて、我が愛車メルセデス・ベンツGLBも、コンパクトな7人乗り輸入SUVとして人気を集める車種のひとつであり、納期はなかなか厳しい状況が続いているようです。コロナ禍初期で大騒ぎの2020年に発売され、何度も装備変更や価格改定を繰り返し、さらには行政処分という不名誉な烙印も押されてしまいました。車はすごくいいんですけどね。

いやー大変だなあということで、発売からこれまでの流れを、主に装備や価格に焦点をあててみていきたいと思います。「とりあえずMP202202のことだけ知りたい」という方は目次から飛んでください。

1. 2020年6月 GLB新発売

  • GLB 200d : 512万円
  • GLB 250 4MATICスポーツ : 696万円

さて、メルセデス・ベンツGLBが日本で発売されたのは2020年6月。発売当初のグレード展開は、2リッターディーゼル前輪駆動の「200d」と、2リッターガソリン4輪駆動の「250 4MATICスポーツ」の2本立て。200dの車両本体価格は512万円、250 4MATICスポーツは696万円でした。

200dと250に184万円もの差があるのには驚きましたが、この価格差は装備によるところが大きいのです。

250には、200dではオプション設定になっているナビゲーションパッケージ、AMGラインパッケージ、有償ボディカラーに本革シートが標準装備されています。

さらに、200dには装備されない上級装備として、224馬力の高出力エンジン、4WDの4MATIC、スポーツサスペンション、オフロードエンジニアリングパッケージに20インチホイールが装備されます。それを考えると、696万円という価格も納得できます。

メルセデス・ベンツのコンパクトな7人乗りSUV、エントリー価格もベンツとしてはお手頃な512万円ということで、大方の予想通りヒットを飛ばし、2021年の新車登録台数は5,812台を記録しました。

しかし、初期オーダーが納車されはじめた2020年の秋頃から、「ついているはずの装備がついていない」という、不穏な声が広がっていました。

これは「ランニングチェンジ」の名目でさまざまな装備が変更されたもので、変更された装備の中には「バックミラーのフレームレス化」など商品性向上の要素もあったものの、全体的には装備の削減であったことから、市場では「コストダウン」と理解されたのです。

2020年秋頃の納車分から削減された装備は、主なものだけで下記の通りです。

  • サングランホルダーの廃止
  • 2列目中央のUSB-Cポートが「蓋あり2口」から「蓋なし1口」に変更
  • 助手席足元の収納ネット廃止
  • 3列目の読書灯廃止
  • AMGラインパッケージのMercedes-Benzロゴ付きブレーキキャリパーカバー(フロント)の廃止
  • ドリルドブレーキローター(フロント)が「穴なし」に変更

これらの変更はユーザーや販売店への事前の通知がなく、ユーザー方面からの指摘で盛り上がったため、インポーターであるメルセデス・ベンツ日本は対応に追われることになります。

さらに、カタログに全車標準装備と記載されていた「オフロードエンジニアリングパッケージ」はGLB200d には装備されず、AMGラインの「スポーツコンフォートサスペンション」に至っては、そもそも部品自体が本国にも存在しないにも関わらず、なぜか日本のカタログに記載されてしまっていたことが判明します。

詳細は当ブログでも既にお伝えしましたので割愛しますが、このトラブルによってMBJは後に景表法違反(優良誤認)として行政処分を受けてしまうことになります。

なお、サングラスホルダーや、AMGラインのブランドロゴ付きブレーキキャリパーカバー(フロント)については、未装着で納車された車両に対し、後日販売店で換装するという対応が取られました。

2. 2021年1月 価格改定

  • GLB 200d : 518万円
  • GLB 250 4MATICスポーツ : 704万円

メルセデス・ベンツGLBは発売からおよそ半年後の2021年1月に最初の価格改定が行われ、200dは512万円から518万円に値上げされました。これに伴い、オプション価格も値上げとなります。例えば、ナビゲーションパッケージが189,000から191,000円、AMGラインパッケージは280,000円が283,000円といった具合です。私がオーダーしたGLB 200dは2021年3月に納車されたため、この価格が適用されています。

2021年1月の変更は値上げのみで、カタログに記載された装備に変更はありません。正確には、2021年1月版の装備リストからは、初期のカタログで標準装備と書かれていたオフロードエンジニアリングパッケージや、AMGラインパッケージに含まれていたスポーツコンフォートサスペンションが消えていますが、これは装備の削減ではなく、カタログの誤表記によるものです。

3. 2021年4月 「180・200d 4MATIC」発売

  • GLB 180 : 530万円
  • GLB 200d 4MATIC : 553万円

2021年4月には、GLBに新たなエントリーグレードとして、ガソリンエンジンの「180」が追加されました。また、200dはFFが廃止され、4WDの「200d 4MATIC」のみとなります。「250 4MATICスポーツ」は、2021年4月時点では併売扱いでカタログに記載されていましたが、2020年末ごろにはディーラーでの新規受注は原則として不可となっていたようです。なお、250スポーツは2021年7月のカタログから正式に削除されます。

さて、200d(FF)に代わってGLBの新たなエントリーモデルとなった180は、どう解釈すればよいでしょう。

180のパワートレインは、1.3リッター136馬力のガソリンエンジンに7速DCTが組み合わされます。200dの150馬力ディーゼル+8速DCTと比べると1ランクダウンといえます。車重は1,620kgと、200d FFよりも100kg以上軽いのですが、WLTC燃費は13.4km/Lで、200d FFの17.5km/Lより25%ほど落ちるという内容です。

GLB180の車両本体価格は、廃止されたGLB 200d FFの518万円より12万円高い530万円なので、比べてしまうとモヤモヤするものがありますが、それでもディーゼルエンジンを好まない方もいますので、それなりに需要はあるようです。

なお、4WDの「200d 4MATIC」553万円から。4輪駆動化されたとはいえ、ディーゼルモデルのエントリー価格は改定前の35万円アップという、なかなか強気の設定となりました。

なお、GLBの2021年7月のカタログからは、これまで標準装備されていた「PRE-SAFE」「PRE-SAFEプラス」「PRE-SAFEサウンド」が削除されました。

「PRE-SAFE」は、危険回避のため急ハンドルや急ブレーキの操作をした際に「シートベルトテンショナー(全席)」、「サイドウインドウなどの自動クローズ」、「着座ポジションの自動調整(助手席、メモリー付電動シート装着車)」が機能します。

「PRE-SAFEプラス」は、後続車両に衝突される危険があると判断すると、「ハザードランプを素早く点滅」「自車が停止中の場合は、後方からの衝突に備えてブレーキ圧を高める」「シートベルトテンショナーも作動」というものです。

そして、「PRE-SAFEサウンド」は、衝突が避けられないときに、スピーカーからノイズを発生し、 鼓膜の振動を内耳に伝えにくくする、という機能です。

この「PRE-SAFE3点セット」、上述の通り、差し迫った衝突の危険が認識されてはじめて作動する機能ですので、限りなく100%に近いユーザーは、使わないどころか装備されていることすら実感することなく終わってしまうものです。

それを言ったらエアバッグはもちろん、シートベルトですら本来の機能を発揮することは極めて稀ですので、あった方がいいに決まっていることは言うまでもありません。

また、AMGラインパッケージからは「メルセデス・ベンツロゴ付きブレーキキャリパーカバー(フロント)」は削除されています。

4. 2021年9月 構成変更→MP202201

  • GLB 180 : 557万円
  • GLB 200d 4MATIC : 581万円

メルセデス・ベンツGLBの3回目の価格変更は2021年9月です。ここは少し複雑です。GLBについては以下の内容が変更となりました。

  • パッケージオプションだったナビゲーションを標準装備に変更
  • AMGラインパッケージに含まれていた64色アンビエントライトを標準装備化
  • テレビ機能をオプションから切り離し、有償化
  • プライバシーガラスを標準装備からAMGラインパッケージに変更
  • MBUXインテリア・アシスタントとブランドロゴプロジェクターライトをアドバンスト・パッケージに追加
  • フットトランクオープナーを廃止
  • 荷室12V電源の廃止
  • ワイヤレスチャージングの廃止

ナビはこれまでもほぼ全てのユーザーが選択しているものですので、標準装備化に対する違和感はあまりないと思います。64色アンビエントライトも非常にお勧めの装備なので、標準装備化は歓迎です。

後席プライバシーガラスがAMGラインパッケージになってしまったのは残念ですが、後からフィルムを貼ることもできます。

痛いのは、半導体ショックの影響で消えてしまったフットトランクオープナーです。これはメチャクチャ便利な機能なので、あるのとないのとでは使い勝手が全然違います。

また、テレビ機能が有償になってしまったことも、人によっては辛いものがあるでしょう。なにせ、mercedes me ストアで11.9万円もするのです。

ワイヤレスチャージングは私のGLBにはついていますが、充電速度が極めて遅いのでまったく使い物になりません。これは要らないでしょう。

また、前回の装備表から消えていたAMGラインパッケージの「ロゴ付きブレーキキャリパー(フロント)」が復活しているのは興味深い点です。

GLB180は557万円と27万円アップ。200dは581万円で28万円アップです。標準装備となったナビゲーションパッケージは7月のカタログでは191,000円、64色アンビエントライトは日本では個別オプションの設定はありませんが、本国価格の約4万円とすると、追加装備の価格は23万円相当になりそうです。つまり、180も200dも実質的には4万円ほどの値上げとみることができます。

さらに、廃止されたフットトランクオープナーなどを考慮すると、実質的な値上げ幅はさらに大きいということになります。

AMGラインパッケージを装着すると、GLB180は592.7万円、GLB 200d 4MATICは616.7万円です。2020年6月の発売当初のGLB 200d(FF)は同じ構成で558.9万円でしたから、だいぶ遠くに来ちまったなあという感じでしょうか。

これが、後に設定されたGLBのモデル識別コード「MP202201」と同じ内容です。

モデル識別コードとは、メルセデス・ベンツ日本が独自に導入した型番で、2021年夏ごろから導入されたものです。コロナ禍以降の度重なる装備・仕様変更により、仕様の異なる車両が同時期に配車されることで、カタログ記載の装備内容と食い違うことなどを避けるために、独自の商品コードを設定したようです。

5. 2022年6月 価格改定(MP202202)

  • GLB 180 : 568万円
  • GLB 200d 4MATIC : 593万円

そして、2022年6月23日ごろ、GLBにとって9ヶ月振り4回目となる価格改定が発表されました。販売店では何ヶ月も前から提示されており、ネットでも出回っていたのですが、ようやく静かに公式発表された形です。

メルセデス・ベンツGLBのMP202202版は、180は11万円アップの568万円、200d 4MATICは12万円アップの593万円となりました。

装備リストを見る限り、MP202201からの変更点は以下の通りです。

  • メモリ付パワーシートが廃止
  • 全モデルで「パタゴニアレッド」が選択可能に
  • AMGラインパッケージに「パドルシフト(シルバー)」が追加
  • テレビ機能復活

一番ネットを賑わせているのは、メモリ機能付きパワーシートの廃止です。これは半年以上前からMBJのウェブサイトでも公開されていました。当初は「前後スライドは電動」という情報でしたが、どうも直近の販売店情報ではスライドも手動になるようです。ぎゃふん。

次に、日本ではいままでAMG GLB 35にしか設定されてなかった「パタゴニアレッド」が、全モデルで選択可能になりました。

そして、AMGラインパッケージには「パドルシフト(シルバー)」という表記が初めて現れました。どうも当初から非AMGライン標準車のパドルシフトは黒だったようです。

さらに、AMGラインパッケージに「スポーツブレーキシステム」という見慣れないアイテムが新登場しています。「GLB、ブレーキ弱いから強化されたのかな?」と少し期待しましたが、販売店の予想では「例のロゴ付きキャリパーカバー&ドリルドローターの商品名が変わっただけでは?」ということでした。

ということで、MP202202の200d 4MATICにAMGライン、有償ボディカラー、サンルーフを足すと656.7万円になり、私が購入した時より70万円ほど高くなっています。

さらに、これまで見てきた通り、PRE-SAFE、フットトランクオープナー、パワーシート、その他無数の名もなき(ある)装備が消えています。

これでもまだ今の方がマシだと言えるのは、GLBをはじめとする現行メルセデスのコンパクトクラスの次のマイナーチェンジでは、とても便利なセンターコンソールのトラックパッドがなくなってしまうようなのです。がーん。

装備削減と価格上昇の流れをウォッチしている私としては何とも物悲しい気分になりますが、これはベンツに限った話ではありません。7人乗り輸入SUVとしては最大のライバルであるプジョー5008は、2022年7月の価格改定で、GT BlueHDiディーゼルのほぼフル装備で635万円ほどになります。1年半前はほぼ同じ構成で550万円くらいだったんですよ。

なんでしょうか。自動車という商品はイヤーチェンジやマイナーチェンジによって、同じ値段でも商品性がグングン向上していくものだと思っていましたが、昨今の流れを見ていると、どうも真逆に向かっているようです。

このまま最新装備がどんどん減らされていき、庶民の手の届く車種には旧式の機能しか装備されないようになっていってしまうのでしょうか。シートに続いて窓もハッチも手動化されてしまうのでしょうか。

「お爺ちゃんが子供の頃は、日々新しいものが生まれ、毎日がクリスマスみたいだったんだよ」と言わなければならない日が来ないことを切に願いたいものですね。

“When I was a kid, it felt they made something new everyday. Some gadget or idea. Like every day was Christmas.”
Donald, Interstellar, 2014.
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